■主役・堤真一の存在感が薄かったわけ

 これは、伍鉄の“変わり者”というキャラによるところも大きい。他人のフォローはせず、自分は難問を解くことに没頭。本作は「本気で心と身体をぶつけ合う」とうたわれているのに、伍鉄はそもそも誰かと交わることがなくても平気なので、周辺人物と絡むシーンが少ない。そのため、伍鉄は話の中心からハズレてしまっていたのだ。

 また、玉森演じる作曲家志望だった昊も、ブルズのサポーターとなり、車いすラグビーに触れることで、作曲への熱を取り戻すという流れ。だが、よく考えればブルズと昊の成長とは関係のない別の物語で、明らかにドラマの中で浮いていた。豪華キャストながら、結果的にそれが活かされなかったのだ。

 とはいえ、俳優陣が実際にラグ車でぶつかり合う試合シーンは迫力満点。X上では、《試合シーンは速さ、ぶつかる音、選手の声。選手の顔下からのアングルで迫力満点でした》《スポーツが絡む日曜劇場は熱くて好き。問題アリ、弱小、バラバラみたいなところを「宇宙」に例えてポジティブに語られてるの良い。俳優さんの車いすワークもすごい》などと、称賛の声も多かった。ドラマ自体は残念だったが、試合シーンのクオリティの高さはさすが日曜劇場だった。

 日曜劇場では、スポーツマネジメントをテーマにした22年7月期の綾野剛(44)主演『オールドルーキー』、高校野球をテーマにした23年10月期の鈴木亮平(43)主演『下剋上球児』など、近年はスポーツものは分が悪いことが多いが、この失敗にめげず、再度、チャレンジして欲しい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。