■ある程度の資産があれば門戸が広いマレーシア

 前出の大森氏は、また、マレーシアが日本と同等の治安かつ、「教育移住」のニーズが満たせることも人気の理由だと解説する。

「海外移住の目的は大きく分けて、一定の資産を築いた富裕層のリタイア(=FIRE)と、子どもをインターナショナルスクールに通わせることを目的とした教育移住の2パターンに分けられますが、教育移住に関しては“学費の安さ”と、旧大英帝国圏の国なので“英語に浸れる環境”の面からマレーシアが人気なのです。

 たとえば、子どもにグローバルな教育を受けさせる場合はインターナショナルスクールを選択することになりますが、日本国内のインターナショナルスクールは学費が年間約300万円以上と高額かつ、生徒は日本人の割合が半数程度以上という学校も少なくない。

 一方、マレーシアは小中学生であれば年間200万円程度でも通えるインターナショナルスクールもあり、多様な人種がいるため費用を抑えつつ本格的な英語教育を受けさせることができます。また、マレーシアは治安もよく、最新の2026年度『世界平和度指数』では日本の10位とほぼ同じ12位なので、“物価が手頃、教育環境が整っている、治安が良い”と三拍子揃っています」

 税制やビザ取得といった条件面でも、アメリカよりシンガポールやマレーシアに軍配が上がる。特にビザに関しては、マレーシアは取得しやすい制度が設けられているという。

「マレーシアとシンガポールは、原則として国外で発生した金融所得が非課税、特にシンガポールは国内の投資益も概ね非課税という大きなメリットがあるので、国外で稼いだ金融所得に対しては概ね課税されません。ビザに関しては、アメリカで人気の投資永住権は一定の投資を求められ、シンガポールの就業ビザは一定の学歴や年収を要求するのに対し、マレーシアはハードルが比較的低い制度が設けられています。

 たとえば、富裕層向けの長期滞在ビザ『MM2H』(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)は、最も手頃なシルバークラス(有効期限5年)で60万リンギット(約2400万円)の不動産購入と、15万米ドル(約2250万円)の定期預金額で取得可能です。

 また、非IT職でもインフルエンサーやコンサルタントのようなオンラインで仕事ができる方なら、海外からの収入を得ながら現地でリモートワーク滞在ができる在留資格・デジタルノマドビザが年収6万ドル(約960万円)で取得できます」

 今後も時代の変化に伴って、芸能人の移住先も変化していきそうだ。

大森健史(おおもり・けんじ)
株式会社アエルワールド代表取締役。大手証券会社を経て、2004年に同社を設立。以来、親子留学や家族移住をはじめとする海外生活の専門家として2万人以上の相談実績を持つ。各ご家庭の教育方針に合わせた最適な教育移住サポートに注力している。海外生活や居住ビザに関する執筆や発信を多数手がけるほか、著書『日本のシン富裕層 なぜ彼らは一代で巨万の富を築けたのか』(朝日新書)はベストセラーに。テレビや雑誌などメディア出演も多く、最新の海外移住事情を精力的に発信している。