夢のマイホームは夢のままか──。“億ション”ひしめく東京で、家を買うだなんて口にするのも恐ろしい。ところが今、その夢を現実に変える“激安物件”が都内にも存在するという。
「中古戸建てが狙い目です。都内でも1000万円以下の物件があるんですよ」(大手不動産会社社員)
実際に不動産情報サイト「LIFULL HOME’S」を覗いてみると、1000万円以下で購入できる都内の中古戸建ては76件も掲載されていた(8月1日現在)。中でも最安は、町田市にある398万円の3LDKだ。
「全国的に空き家が増えているのは、東京も例外ではありません。今後は、そうした空き家が中古物件として市場に出てくる流れがさらに加速するはずです」(前同)
“都内にマイホームを買った”──そんな言葉を口にする日が、本当にやって来るかもしれない。しかも、激安物件を手に入れるチャンスは、目前に迫っているという。
オラガ総研株式会社代表取締役で、著書に『新・空き家問題 ──2030年に向けての大変化』(祥伝社新書)などがある不動産プロデューサーの牧野知弘氏が解説する。(以下、カギカッコ内のコメントはすべて牧野氏)
「2030年から、都内でも空き家が大量に発生すると見ています」
その背景にあるのは、不動産の相続問題だ。
「相続には2段階あります。夫婦のどちらかが亡くなる“1次相続”では、不動産はあまり市場に出てきません。たとえば、夫が亡くなっても、残された妻がそのまま暮らすからです。市場に出回りやすいのは、“2次相続”が起きる時です」
2次相続とは、一度不動産を相続した配偶者が亡くなり、その相続人である子が相続すること。
「被相続人が高齢の場合、子ども世代はすでに自宅を持っている場合も多いため、相続した子は相続した家を人に貸すか、売却するかというケースが多くなります」
現在、75歳以上の単独世帯は増加しているため、2030年頃からはその2次相続が増えてくるタイミングとなる。それにより、都内でも空き家の売却が一気に増えるというのだ。
中でも牧野氏が注目するのは、世田谷区の物件だという。
「実は都内で一番空き家が多いのは、世田谷区なんです。住んでいないにもかかわらず、固定資産税などの維持費を払いながらそのまま所有される裕福な人が多いからです。ただ、相続人も全員が裕福とは限りません。今後2次相続が増えれば、世田谷区でも比較的リーズナブルな物件が出てくる可能性は十分あります」
世田谷といえば、成城や等々力、深沢など、都内有数の高級住宅街を持つ地域だ。いくら物件が出回るようになるとはいえ、庶民には手が届かなさそうだが、
「戸建てはそのまま貸せる状態の家ばかりではありません。建物を解体し、更地にして売るケースも増えるでしょう。世田谷にあるような敷地の広い家の場合、土地を細かく分けることもあります。そこに3階建ての狭小住宅、いわゆる“ミニ戸建て”を建てて販売するんです」