■いい物件に巡りあうためのコツ

 ミニ戸建てとは、20〜30坪程度の土地に3階建ての住宅を建てることで、80〜90平方メートルほどの床面積を確保した住宅だ。決して大きな家とは言えないかもしれないが、都内にマイホームを持つ夢をぐっと引き寄せてくれる。

「大きな家でなくてもよいと考える人にとっては、マンションより手が届きやすい選択肢になります。値段はエリアによって異なりますが、新築の区分所有マンションより2割ほど安く手に入るでしょう」

 とはいえ、「安いものには価格が上がらないマイナスポイントが必ずある」と牧野氏は言う。

「たとえば、駅から遠いなどの立地条件や、ミニ戸建てで言えば、敷地の狭さや3階建てゆえの使い勝手の悪さなどが挙げられます」

さらには中古戸建ての場合、価格を下げる理由は、立地や築年数だけとは限らない。

「分かりやすいのは、過去に人が事件や事故が起きた“事故物件”です。それ以外にも、湿地帯だった物件では湿気が多く、クローゼットの中がカビだらけになることがあります。ほかにも、リフォームしたように見えてあとから雨漏りの染みが出てくることもあれば、家自体が傾いているなんてこともあります」

 多くの人にとって、マイホームは生涯で一番高い買い物になるはず。安く買えたとしても、決して安い買い物ではない。失敗した時のダメージは大きいだろう。

そうなると、購入の際はメーカーや不動産業者の説明を鵜呑みにするのではなく、自らの目と足を使って情報収集することが大切になる。

「建物だけでなく、時間を変えて周辺環境も確認することをおすすめします。昼間は良く見えても、夜になると印象が全く変わる場所もあります。最も大切なのは、たくさん物件を見ること。数を見れば自然と感覚が身につきます」

 さらに、いい物件に巡りあうためのコツを牧野氏が教えてくれた。

「できれば、地場の不動産会社と関係を作っておいたほうがいいですね。というのも、本当にいい物件ほど、ネットに情報が出る前に売れてしまうからです」

物件情報の登録が義務づけられている不動産業者向けサイトでさえ、買い手がほぼ決まってから掲載される物件も多いという。

「良客になるには、ただ買いたいと伝えるのではなく、予算と購入時期も伝えることです。金融機関にも事前に相談し、良い物件があればすぐに買える状態にしておくと、営業マンも本気で動きやすくなります」

 あと数年も経てば、都内のマイホームは絵空事ではなくなるかもしれない。夢を叶えたいなら、今から動き出しても早すぎることはないだろう。

牧野知弘(まきの・ともひろ)
不動産事業プロデューサー。『オラガ総研株式会社』代表取締役。東京大学経済学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループ、三井不動産等を経て2009年『オフィス・牧野』を設立し、15年に『オラガ総研』を設立。不動産全般に関する取得・開発・運用・建替え・リニューアルなどのアドバイザリー業務を行う傍ら、講演活動を展開。著書に「新・空き家問題」(祥伝社新書)、「不動産の教室~富裕層の視点が身につく25問」(大和書房)「50歳からの不動産~不動産屋と銀行に煽られないために」(中公新書ラクレ)ほか、31冊目となる最新刊に「『外国人不動産』問題」(祥伝社新書)がある。テレビ、新聞、YouTubeなどメディア出演多数。