■「コラボ取り下げ」の可能性は? 法務省保護局を直撃

 長くネットの炎上史を見守ってきたネットニュース編集者の中川淳一郎氏は、

「たとえば過去、東京五輪・パラリンピック開会式における音楽担当の小山田圭吾さんは、過去のいじめが蒸し返された結果、降板することに。また開会式・閉会式の演出を担当した小林賢太郎さんは過去のコントが問題視され、やはり降板に追い込まれました。特に公的なものに関して、ネット民は関わる人の過去にも厳しいんです。もちろん今回は更生に理解を示すことを呼びかけるためのコラボで、過去の行いの是非を問うことが主眼ではありませんし、SNSには、法務省の取り組みに理解を示す意見もあります。

 ただ、人は負の感情を持った時に、SNS上における情報の拡散力が桁違いになります。今回、特に大きな議論となっているのは“人に火をつけたことがある”という主旨の発言で、これはつまり、被害者がいるわけですね。それなのに、“発言からは『更生している』『反省している』感じを受け取ることができないという”ネット民の心理が伝播し続けていることが、炎上が止まらない理由でしょう」

 と語った。

 8月14日に『オリコンニュース』の取材を受けた法務省保護局は、“掲出スケジュールに予定変更はなし”としたうえで、《更生保護という取り組みを多くの人に考えてもらうきっかけになれば》と答えていた。批判が続くなか、本サイトは、あらためて法務省保護局に話を聞いた。

――更生を考えるためのコラボとはいえ、SNS上では批判が止まらない状況です。キャンペーンは継続するのでしょうか?

「現在、さまざまなご意見をいただいています。ただ、現時点でどうかとは言えません。今後(の継続)について検討するために、しっかりとご意見をうかがい、そのうえで判断したいと考えています。まずは、ご意見を踏まえ丁寧に精査していきます」(担当者、以下同)

――具体的に、どのようなプロセスで検討するのか。コラボを取り下げる可能性もあるのでしょうか?

「まずは局内で継続か否かのプロセスについて検討しなくてはならない。今、お伝えできるのは、いただいたご意見を集め、それを基に検討をするということだけです。コラボを取り下げる可能性についても、今の段階で言えることはありません」

 何も明言することはなく、「検討する」と繰り返した担当者。しかし、『オリコンニュース』に回答した、“掲出予定に変更なし”といった旨の回答とは変化が見て取れる。当初は9月上旬までを掲出期間としていたが、今後はどうなるのか。

 法務省保護局は《本作品をきっかけに、広く「更生保護」の取組を知っていただき、生きづらさを抱える人々の立ち直りを愛(ラヴ)を持って応援していただけることを願っています》と発信していたが──。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)/1973年生まれ。一橋大学卒業後、大手広告会社で企業のPR業務などを手掛け、2001年に退社。その後ネットニュース編集者として数多くの媒体に携わる。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社)、『過剰反応な人たち』(新潮社)など。最新刊は『それってホントに「勝ち組」ですか? 現代格差の読み解き方』(鹿砦社)。