■軽井沢より過ごしやすい

 “避暑地”というと、長野県の軽井沢など標高の高い場所のイメージを持つ人も多いはず。実際に軽井沢も観測史上35度以上の猛暑日になったことはなく、標高の高い地域では関東甲信でも猛暑日知らずの地域がいくつもある。

 しかし、前出の佐藤氏は「勝浦のほうが過ごしやすいだろう」とし、他の避暑地と勝浦の違いを説明する。

「軽井沢などの内陸部でかつ標高の高い地域は、夜から朝にかけて冷え込みが強まる傾向にあります。例年、8月の最低気温の平均は勝浦が23.5度、軽井沢は17.1度と6度以上も違い、朝晩には羽織るものが必要なくらいです」

 さらに、勝浦は“冬も過ごしやすい”というのも、高地の避暑地とは大きな違いだろう。軽井沢の2月の平均気温は約-0.2度と厳しい寒さが続くのに対し、勝浦は9度前後。年間を通した気温差が少ない理由にも、実はこの“勝浦ならではの地形と風”が関係しているという。

「夏場は南寄りの風が深海の冷たい海水を引っ張り上げていましたが、日本の冬は北よりの風に変わるため、夏ほど湧昇流は起きません。さらに、勝浦沖には暖流である黒潮が流れているため、冬場には巨大な“湯たんぽ”が沖合いにあるような状態になります」

 風の吹き方の変化、そして近くを流れる温かい潮が、今度は勝浦を温めているのだ。

 とはいえ、今年の夏は例年にも増して酷暑が続く。この数年以内に、勝浦も猛暑日を迎えてしまう可能性は十分にあるという。

 実際、今年は7月後半以降、全国的に観測史上1位の気温が続出し、九州では初の酷暑日を記録している。

「勝浦も、例年“猛暑日”には届かなったものの、2023年には34.5度、今年の7月も34.6度まで上がり猛暑日目前まで迫っています。周りと比べて涼しい地域であるとはいえ、全体の気温が上がっている以上、“猛暑日ゼロ”の歴史に終止符が打たれる日は近いかもしれません」

 勝浦よ、いつまでも日本のオアシスであってくれ!

佐藤圭一(さとう・けいいち)
1986年、長野県生まれ。気象キャスター。気象予報士。ケーブルテレビ局でアナウンサーとしてのキャリアをスタートし、後にラジオ局の報道記者へ転身し、報道記者として国会や首相官邸、各省庁などでの取材を経験。その後、2018年からウェザーマップに所属し、気象予報士としても活動の場を広げている。