■あえての“非効率”が客を呼ぶ、本のガチャガチャ

 ユニークな仕掛けで話題を呼んでいるのが、北九州市の書店「みぢんこ」です。ブックカバーで中身を隠した「シークレット文庫」や、ハンドルを回して出た番号の本を購入する「本のガチャガチャ」を導入。ネットで欲しい本を検索してすぐに買える時代だからこそ、あえてゲーム性を持たせることで、普段は選ばないジャンルの本との偶然の出会いを生み出し、新たな客層を呼び込むフックとなっています。

 また、人件費を抑えながら営業時間を拡大する新たな一手として、夜間や週末を「無人営業」に切り替える動きも全国の書店で活発化。入店管理には、事前に登録した会員情報のバーコードやスマートフォンの認証システムを活用し、自動ドアの端末にかざして開錠する仕組みや防犯カメラの増設による強固なセキュリティ対策を敷くことで、ローコストかつ安全な完全キャッシュレスのセルフ運営を可能にしました。

 これにより、仕事帰りや学校帰りの遅い時間、急ぎで本を購入したい場合など、従来の営業時間では取りこぼしていた顧客層のニーズをキャッチ。結果として深夜帯の売り上げが前年比を上回るなど、客単価や収益面で成果を上げる事例が全国で相次いでいます。

「ネットでは手に入らない“偶然の出会い”や“体験”をどう提供できるかが、これからの書店経営の大きなテーマになります。読者にとって『また行きたい』と思える場所をつくれるかどうかが、今後の鍵を握るでしょう」(経営コンサルタント)

「本を売る場所」から「人が集まる場所」へ──。生き残りをかけた街の本屋さんの“反撃”は、これからも続いていきそうです。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。