現役時代は阪神タイガースで2度のリーグ制覇、引退後は阪神や日本代表で指導者を務めてきた矢野燿大が“マスク越しの視点”から現在の球界を徹底解説。ここでしか聞けないレジェンドOBの“生の声”を本サイト編集部がお届けする。

 近本光司が左手首の骨折から一軍復帰して1か月が経過。やっぱり近本が1番に入ると打線が落ち着きますね。相手チームにとっては厄介なリードオフマンが戻って来たとも言えるでしょう。

 私の監督時代もタイガースのキーマンは近本だと思っていました。出塁率の高い近本が塁に出て、相手バッテリーに盗塁を警戒させる。近本を気にしたバッテリーの配球はストレート系の単調なものになる可能性がある。これは中軸を任されるテル(佐藤輝明)や大山悠輔にとって有利です。

 つまり、単にヒットを打つだけでなく、塁上から相手を揺さぶることで打線全体に好循環をもたらし、チームの得点力を上げるのが近本なのです。

 そんな近本は2019年のデビュー以来、昨シーズンまで7年間、「1番・センター」を指定席に、ほぼ休むことなく試合に出場しきました。規定打席にも毎年到達。プロ初安打から861試合目には通算1000安打を達成。これはタイガース史上最速だそうです。

 身長171センチ、体重71キロと、体格的には恵まれていません。ただ、体は強いし、身体能力も高い。マッサージなど体のケアにも人一倍気を使っています。