■リハビリ中に発見!進化したスタイル!

 そんな近本にとって、今回のようにケガで3か月も休むのは初めてのこと。しかし、こうした経験をプラスに変えられるのが優れた選手です。もちろん、近本も例外ではありません。

 復帰後の近本を見て驚いたことがあります。バッティングフォームが大幅に変わっているのです。

 それまではバットのヘッドがピッチャー方向に極端に入った状態で構えるのが、近本の特徴でした。それが今は耳の後ろ当たりにバットが収まった状態で、ゆったり構えています。

 一般に、ヘッドがピッチャー方向に入った構えだと、スイングは遠回りし、体重移動も大きくなります。近本はこれまで素晴らしい数字を残してきましたが、課題を挙げるとするなら好不調の波の大きさでした。その波を小さくするためのバッティングフォーム改良だったのかもしれません。

 おそらくリハビリ期間中に試行錯誤し、新たな進化を求めた結果のチャレンジなのでしょう。こうした探求心や向上心が近本らしいと思います。

 近本は配球を読んで対応するタイプではありません。ボールの軌道とスピード感から来た球に反応するバッターです。たとえばスライダーがどこで、どのように変化するのか。そのスピード感とイメージによって対応します。しかもその引き出しが多い。だから、初対戦のピッチャーも苦にしないし、短期決戦でも好成績を残せるのです。

 私がキャッチャーなら3球以内で勝負しますね。追い込めば追い込むほど、コンタクトの確率が上がるので、必然的に球数は増えます。だったら3球目までに勝負してヒットを打たれたほうがいい。バッテリーにそこまで思わせてしまうのが近本です。連覇に向けた戦いはこれからが正念場。近本の躍動がチームを牽引してくれるはずです。

矢野燿大(やの・あきひろ)
1968年12月6日生まれ。90年ドラフト2位で中日ドラゴンズへ入団。97年オフにトレードで阪神タイガースへ移籍すると、正捕手としてチームの躍進を支え2度のリーグ優勝に貢献。