■名手・岡部幸雄の涙に胸を打たれて

 スタートからゴールまで、馬の息遣いを含め、全部をはっきりと覚えていますが、心に強く残っているのは、ミスベルベールで参戦した98年のレースです。

 勝ったのは、大先輩、岡部幸雄さんが乗ったタイキシャトル。ふだん、冷静な岡部さんが、ジョッキールームで涙している姿を見たときは、僕の胸にも迫ってくるものがありました。

 安田記念を制したシックスペンスをパートナーに挑んだ6度目のチャレンジ。厳しい結果(10着)となり、日本から応援してくださった皆さんの期待に応えることができなかったですが、敗因を分析し、これからも積極的にトライしていきたいと思っています。

 再び、札幌競馬場に舞台を移して2週目。僕が楽しみにしているのは、8月30日のメイン、芝1500メートルで争われる日高ステークスです。

 パートナーは、キズナ産駒のマジックローズ。ここまでダートで4勝を挙げている馬で、僕とコンビを組むのは、これが初めてになります。

 中央でデビューし、一度、地方(高知)に転出。2戦2勝で、再び中央に転入してきたという4歳の女の仔。前走、7月5日の九州スポーツ杯(2勝クラス)を圧勝したように、ポテンシャルは相当なものです。楽しみにしていてください。

武豊(たけ・ゆたか)
1969年3月15日、京都府京都市生まれ。1987年3月1日にJRA騎手デビュー。翌1988年、スーパークリークで菊花賞を制しGI初勝利。以後、オグリキャップ・サイレンススズカ・スペシャルウィーク・ディープインパクト・キズナ・キタサンブラック・ドウデュースなど歴代名馬の手綱を取り、国内外GI通算100勝超を達成した“レジェンドジョッキー”である。2018年9月には史上初のJRA通算4000勝、2024年度JRA賞特別賞と黄綬褒章を受章、2026年7月12日には前人未到の5000勝を達成した。現在もトップクラスで騎乗を続ける“競馬界の第一人者”兼“最多記録更新請負人”。