■SNS利用に“SNSにはない居場所”を提供する

「『SCHOOL OF LOCK!』が始まったのは21年前になりますが、その頃からすでにラジオの将来に対する危機感は現場にあったんです。番組ではパーソナリティを“校長”“教頭”と呼んでいますが、初代教頭だったマンボウやしろさんは、現在、『Skyrocket Company』でパーソナリティをやっています。とーやま校長も『JA全農 COUNTDOWN JAPAN』という歴史の長い番組のパーソナリティを務めていますし。15~20年前に『SCHOOL OF LOCK!』を聴いていた世代が、今は別の番組を聴いてくれているんですよ」

『SCHOOL OF LOCK!』では、“生徒”と呼ばれるリスナーから友人関係、家族関係、恋愛、受験、将来の進路などの悩みや相談が寄せられることが多い。「部活が廃部になってしまうけど、自分は続けたい。どうやったら先生を説得させられるか?」といった切実なSOSに、人生の先輩的な立場の校長や教頭が真摯に応える様子は微笑ましく感じるほどだ。

 だが、ここで疑問が浮かんでくる。これだけ簡単にネットで人とつながれるのに、なぜ若者はあえてラジオに居場所を求めるのか。

「ラジオも匿名という意味ではSNSと一緒ですが、番組という一つのコミュニティがあって、そこを“安心していられる場所”と感じてもらえているんじゃないでしょうか。SNSは匿名の人が好き放題に発信できるので、誹謗中傷も問題になっていますよね。一方、ラジオはどのメッセージを扱うのか局側が責任を持って編集し、パーソナリティも名前を名乗ってコメントする。その違いは大きいと思います」

 そういえば、若い世代の中からは“SNS疲れ”の声も聞こえるようになってきた。LINEなどでこまめに連絡を取るだけでなく、BeRealなどの位置情報共有SNSで自分の生活が筒抜けになっていたら息苦しさを感じるのも当然だろう。

「ただ、我々としてはSNSを敵視しているわけではないんですよ。むしろラジオはSNSとの親和性が高いと考えています。SNSで出演者を知ってラジオを聴いてもらうこともありますし、ラジオで曲が流れてきたことで好きなアーティストができ、その人のSNSをフォローするようなこともある。今後もネットともインタラクティブな関係を築けたらいいなとは思いますが、一番大事なのはリスナーの方にとって番組が“居心地のいい場所”であるという点。そこは昔も今も変わらないラジオの価値なので、大事に守っていきたいです」

 情報過多な時代だからこそ、誰かとゆるくつながる“距離感”が見直されつつあるということか。ラジオの価値は、時代が変わっても案外変わらないのだ。

『SCHOOL OF LOCK!』
2005年10月から放送開始された“未来の鍵を握るラジオの中の学校”をコンセプトとするラジオ番組。メインターゲットは中高生で、学校、恋愛、進路などの悩み相談が多いのが特徴。Mrs. GREEN APPLE、新しい学校のリーダーズNiziU乃木坂46・賀喜遥香など豪華なレギュラー陣でも注目を集める。月曜日から金曜日まで夜22:00~の時間帯にTOKYO FMをキー局としたJFN系38局で放送されている。