■空気な秀長の正しい見方
山口の熱演で勝家の漢っぷりを見せつけながら、信長(小栗)以降へと向かう時代の転換点を見事に描いた回だった。一方で、お市(宮﨑)と茶々(井上)の会話から先の悲劇を予感させる。そして、このタイミングで次週は新キャラの千利休(吉岡秀隆/56)を登場させ、次のエピソードが始まるという運びのうまさ。つくづく見事な構成になっている。
しかし、その出来のよさのわりに、視聴率は伸びるどころか、今回で番組最低を更新。これは各方面から指摘されているが、秀長(仲野)の地味さに尽きるだろう。これは、秀長は主人公である一方、信長や光秀(要潤/45)、またはお市と、各登場人物を浮かび上がらせ、物語をまわしていく「狂言回し」の役を担っていることが大きい。
そもそも秀長の設定が地味で、兄・秀吉の天下取りを陰で支える役割という異例の主人公。存在感が薄くて当たり前なのだ。ただ、それでもやっぱり見ている側としては、思い入れできる主人公が欲しいのだろう。秀長もちょこちょこ奮闘ぶりを描いているが、周辺人物のドラマチック具合に押されて、どうしても霞んでしまう。主人公が物語の中心にいない、居心地の悪さが数字にあらわれているのだろう。
いっそ、秀長が主人公であることを意識せず、物語全体を眺めるように見れば、各登場人物の動き、時代の流れが秀長(小一郎)を通して見えてきて、面白くなるのではないだろうか。ただ、それは多くの視聴者にとっては面倒な注文なのかもしれない。これ以上、従来の大河ドラマファンが離れないと良いのだが……。
(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。