多くの学校でいよいよ夏休みが終わるこの時期、X上では語り継がれる一つのポストがある。今から11年前、2015年8月26日と8月27日に鎌倉市図書館の公式Twitter(当時。現X)アカウントが発信したメッセージだ。
《もうすぐ二学期。学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい。マンガもライトノベルもあるよ。一日いても誰も何も言わないよ。9月から学校へ行くくらいなら死んじゃおうと思ったら、逃げ場所に図書館も思い出してね。》
《つらいきもちをかかえているあなたへ 図書館はあなたの居場所になりたいと思っています。心のすみっこに「としょかん」をおいてね。 図書館にはいろいろな本があるよ。疲れた心によりそうような本が見つかるかも。》
あたたかみの伝わるメッセージは大きな反響を呼んだ。《よく言ってくれました。ありがとう》《子ども達へ…届け》。作家でタレントの乙武洋匡氏も《いいなあ。すごくいい。》と反応、漫画家の西原理恵子氏は《本を読むという素晴らしい現実逃避》と称賛するなど、著名人も共感を示した。
この投稿をしたのは同館の司書。当時のインタビューで、この時期、命を絶つ子が増えるというニュースを見たことが投稿のきっかけだったと語っていた。
長期休暇明けに子どもの自殺が増える傾向は「9月1日問題」といわれている。2025年に自殺した小中高生は過去最高の538人で、9月は62人(全体の11.5%)と最多。24年も年間529人中、9月は59人(11.2%)で最多となった。
あれから11年。現在館長を務める津田さほさんに、子どもたちの居場所としての図書館の意義を改めて聞いた。
――当時の反響と、そして今なお読まれていることへの思いを教えてください。
「Xの運用については、基本的には各担当者の自主性を重んじています。あの投稿については、(反響が)大変なことになったなと。どんどんリツイート(現リポスト)がされ、それがすごい勢いで増えていきました。通常の投稿は200いいねですごい! という感じだったのに、あっという間に千、万といいねがついて、さまざまな人が反応もしてくださいました」
――反響を、職員たちはどう受け止めていましたか。
「図書館として『特別なこと』を言っているわけではないので、職員全員が“これでそんなに騒がれるの!?”という思いのほうが強かったように思います。もしかすると、投稿文の書き方が、お知らせのような事務的なものではなかったからということはあるかもしれません。でも書いている内容はごく当たり前のこと。逆に、こんなに反響をいただけるということは、それだけ図書館の役割の幅の広さが知られていないのかなという思いにもなりました」