■称賛の一方で削除検討も…話し合いの末に「このままいこう」

 子どもたちに寄り添った投稿が称賛される一方で、鎌倉市教育委員会では議論となり、削除も検討されたという。前出の津田さほ館長が振り返る。

「図書館は学校と同じく教育委員会にある施設でもあります。そこで、『死』というワードは強くなかったか、適切だったかということや、『学校に行かなくてもいいじゃないか』といった主旨にも捉えられないかといった意見交換はありました。話し合いの結果、このままいこうという決定になりました。その後、何か投稿スタイルを変えるなど意識することはありませんが、毎年のように思い出していただいていることは実感します」(津田館長、以下同)

――それから10年以上が経ちました。この間に、子どもたちの居場所に変化は起きていると思いますか。

「図書館が子どもの居場所の一つだよという周知の一助になったのではないかなと思います。義務教育の意味は、『保護者が子どもに教育を受けさせる義務がある』ということなので」 

 子ども側が、学校に「行かなくちゃいけない」と思いすぎなくていいということだという。

「『保護者が学校に行かせる義務がある』のを、『子どもには学校に行く義務がある』と勘違いされやすいのですが、そんなことはありません。今は学び方にも過ごし方にもいろいろ選択肢がありますよね。図書館は、そうした居場所の一つです。裏を返せば、図書館は来てもいいし、来なくてもいい場所です。

 何か困った時、疲れた時、図書館に行ってみようかなと思い出してもらえる存在になれたらいいなと思います。図書館に来たからといって、特に何もしなくてもいいんです。目的はあってもなくてもいい。いつでも無料で、子どもからお年寄りまで、どんな属性、どんな肩書の方でもいられる空間は、図書館ならではですよね。街のなかに、そういう場所を用意することは重要だと思います。また、あらためて皆さんに知っていただきたいのは、決して鎌倉市図書館だけが特別なことをしているわけではない、ということです」

 この10年で、子どもにとってもスマホやタブレットの使用が当たり前になってきたが、津田さんは「どんな時代になろうとも、図書館の基本的な役割は変わらない」と力強く話す。