「地震です。地震です――」
多くの人が寝静まっていた8月23日午前2時ごろ、茨城県南部を震源とするマグニチュード5.9の地震が発生。最大震度5弱を観測し、東京都内でも震度4を記録した。真夜中に鳴り響いた緊急地震速報に、飛び起きた人も多かったことだろう。
都内に住む50代男性もその一人。妻と成人した娘、成人間近の娘との4人暮らし。子どもが幼い頃は家族でキャンプを楽しんでいたが、現在は週末になるとひとりで出かけるソロキャンパーだ。
「夜中に突然、緊急地震速報が鳴ると、やっぱり焦りますよ。このままもっと大きな地震が来たらどうしようって。ただ、少しして“キャンプ道具なら物置に一式揃っているな”と思ったんです」
寝袋、ランタン、バーナー、クッカー、ポータブル電源……。頭の中で手持ちの道具を思い浮かべていくうち、不安が少し和らいだという。
「自分一人なら、電気やガスが止まっても1週間くらいはなんとかなるんじゃないかなって。もちろん4人全員となれば水や食料も含めて心許ないです。でも、何もないよりは圧倒的に心強いですよね」
SNSでも地震を受け、《災害時はキャンパー強いよな》《キャンプ用品一式あるだけでだいぶ安心》《防災用品を買うより普段使っているキャンプ道具のほうが使い方も分かる》など、キャンプ用品を“備え”として捉える声があがった。
実は、こうした考え方は「フェーズフリー」と呼ばれる。日常時と非常時を分けず、普段使っているモノやサービスを災害時にも役立てようという考え方のことだ。
寝袋は寝具に、LEDランタンは停電時の照明に、バーナーとクッカーは調理器具に。普段はキャンプを楽しむための道具が、非常時にはそのまま“備え”へと役割を変える。
では、キャンパーがすでに持っている道具を、どうすれば本当に役立つ「備え」にできるのか。