キャンプギアを防災に生かす

「キャンプ用品って、そもそも電気やガスなどが十分にない環境で生活するための道具なんです。だから防災用品との相性は非常にいいんですよ」

 そう話すのは、アウトドア雑誌の編集者・岡本546氏だ。

 キャンプやアウトドアギアを中心に、雑誌やWEBメディアで幅広く取材・執筆を行う岡本氏。長年のキャンプ経験を持ち、アウトドア用品を日常と非常時の双方で活用する「フェーズフリー」の視点にも注目している。

 なかでも、現代のキャンプ用品で災害時に大きな力を発揮するのがポータブル電源だという。

「いまはキャンプ場へ行けば、ポータブル電源を持っている人を本当によく見かけます。災害時ならスマホの充電はもちろん、容量や出力によって照明や扇風機、小型家電などにも使える。停電時にこれが一台ある安心感はかなり大きいと思います」

 ただし、持っているだけでは“備え”にならない。

「ポータブル電源は重いし大きいので、キャンプから帰ると物置や収納の奥に入れてしまいがち。でも、災害時にすぐ取り出せなければ意味がありません。普段から充電状態を確認して、できるだけ持ち出しやすい場所に置いておく。それだけでも立派な防災です」

 もちろん、キャンプ用品だけで災害への備えが完結するわけではない。飲料水や非常食、常備薬、衛生用品、簡易トイレなどは別途準備しておく必要がある。

 それでもキャンパーには、道具とは別の強みがある。

「使い方を知っていることです。停電した暗闇のなかで初めて説明書を読むのと、何十回も使ったランタンを点けるのでは全然違います。キャンパーは遊びながら、非常時にも役立つ道具を何度も使っている。それ自体がひとつの備えだと思います」

 普段は楽しく使い、もしものときには命を守るために使う。週末の遊び道具として揃えたキャンプギアは、実はすでに立派な“備え”でもあったのだ。

岡本546氏
編集者。キャンプをはじめとする外遊びやアウトドアギアに精通し、雑誌やWEBメディアで執筆・編集を手がける。自身も長年キャンプを楽しみ、ギアの機能や使い勝手だけでなく、災害時に役立つフェーズフリーの可能性にも注目している。