■“そこそこ”なんでもそろっている幸せ

 スポーツで外せないのは、やはりサッカー。日本代表のゴールキーパー・鈴木彩艶(24)も、埼玉県出身。

「漫画『キャプテン翼』では、静岡を象徴する主人公・大空翼の最大のライバルとして描かれる日向小次郎は埼玉出身。明和FCは浦和がモデルですから、昔から、サッカーにおいて、“静岡対埼玉”という構図がありました」(前出の谷村昌平氏)

 国民的アニメ『クレヨンしんちゃん』も春日部市が舞台。“観光面”はどうか?

「埼玉県が、NHKの連続テレビ小説の舞台に選ばれたのは、80作目の『つばさ』と、47都道府県の中では最後。1巡しても順番が回ってこず、2巡目に入って、ようやく取り上げられました。」(前同)

 ただ、『つばさ』の舞台となった川越市は、古い街並みを生かした“小江戸”として、今や関東有数の観光地へと変貌を遂げている。

「秩父市も、創作かき氷ブームの先駆けとなった『阿左美冷蔵』がありますし、川下りなどのレジャーとセットで避暑地として人気を集めています。行田市は、映画『のぼうの城』(12年)の舞台にもなりましたし、深谷市は、紙幣の肖像画になった渋沢栄一のおかげで脚光を浴びています」(同)

 埼玉県は今、住みやすい街としても注目されている。

「民間企業が調べた“住みたい街ランキング”では、大宮が毎年上位の常連。東京23区のシングル向けの平均家賃が約12万円なのに対し、さいたま市大宮区のワンルームは約7万円。都心へのアクセスもよく、生活の充足感はかなり高いですよ」(不動産関係者)

 備えという観点でも見逃せない強みがある。

「とりわけ県西部は、地盤が安定していると言われています。西武鉄道もそれをPRしていて、地震でも揺れにくく、海がないから津波の直接被害も受けにくいです」(前同)

 前出の谷村氏は、埼玉を“東京のおまけ”と、捉える必要はないと言う。

「埼玉は、何か一つが突出しているわけではないけど、“そこそこ”なんでもそろっている。この、“そこそこ”が幸せなんだと、全国に示せばいい。

 魅力度ランキングで最下位になったのも、中途半端な順位よりマシで、“逆の1位になった”と、アピールすればいいんです」

 魅力度は最下位でも、魅力は山ほど。“逆1位”を追い風に、今こそ「ださいたま」の逆襲開始だ!

【前編】かつては東京より埼玉のほうが“格上”だった時代さえあるというが、いつから逆転してしまったのか。知られざる埼玉の歴史や絶品グルメの紹介など、次の週末に必ず行きたくなる情報満載。《【前編】はこちらから》

谷村昌平(たにむら・しょうへい)
埼玉県境の東京北多摩出身。大学卒業後、新聞社や出版社勤務を経てノンフィクションライター・編集者、出版プロデューサーに。主に日本の民俗学調査をライフワークとし、全国を歩く。埼玉ブームの火付け役となった『埼玉の逆襲』や、『千葉の逆襲』(ともに言視舎)など著書多数。

武正倫(たけまさ・りん)
埼玉県加須市出身のユーチューバー。日本大卒業後、市立中の社会科教員や、東京の「日本橋三越本店」販売員などを経て、2021年7月に自身のチャンネル「埼玉うどん子TV」を開設。幼い頃から通った地元のうどん店が、高齢化などによって閉店が増えたことに危機感を覚え、「うどん文化を盛り上げたい」との思いから一念発起。県内のうどん店を一軒一軒撮影し、埼玉のうどん文化の魅力を紹介している。2026年6月には足しげく通う26店を収録した『誇るべき埼玉うどん 26の物語』(双葉社刊)を上梓。