■相続権や遺族年金は失われない
ただし、死後離婚をすれば、亡くなった配偶者の親族とのしがらみからすべて解放される、と考えるのは早計です。
「特に注意したいのがお墓や仏壇などの“祭祀承継”。配偶者から祭祀承継者に指定されていた場合、姻族関係終了届だけではその立場を離れられず、別の親族に引き継ぐには話し合いや、場合によっては家庭裁判所での手続きが必要です。また、子どもがいる場合も注意が必要。姻族関係が終了しても、子どもと祖父母の血族関係は変わりません。親が義父母との関係を断つことで、子どもが祖父母と会いづらくなるなど、家族関係に影響する可能性があります。
一方、相続権や遺族年金は、姻族関係終了届を出しただけでは失われません。ただし、借金を相続したくない、旧姓に戻す、子どもの名字を変更する場合はそれぞれ個別に手続きを行うことになります」(シニアライフアドバイザー)
そして意外な落とし穴が、「自分も頼れなくなる」という点です。義実家との関係を終わらせれば介護などの負担から距離を置ける一方、経済的な援助や子どもの世話など、これまで頼っていたこともお願いしづらくなります。
「死後離婚」手続きに期限がなく、姻族の承諾も必要ありません。ただし、一度提出した姻族関係終了届はあとから取り消せないため、その後の生活設計まで見据えて慎重に検討したほうがよさそうです。
戸田蒼(とだ・あおい)
トレンド現象ウォッチャー。
大手出版社でエンタメ誌やwebメディアの編集長を経てフリー。雑誌&webライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。