現役時代は阪神タイガースで2度のリーグ制覇、引退後は阪神や日本代表で指導者を務めてきた矢野燿大が“マスク越しの視点”から現在の球界を徹底解説。ここでしか聞けないレジェンドOBの“生の声”を本サイト編集部がお届けする。

 工藤泰成(くどう・たいせい)と木下里都(きのした・りと)。優勝争いが佳境に入ってきた中での、若き剛腕コンビの台頭は頼もしい限りですね。ともに2024年のドラフト同期。今シーズンが2年目の伸び盛り。しかも工藤は育成枠での指名ですから、タイガース編成部の慧眼を感じさせます。

 私が工藤を初めて見たのは、昨シーズンの春季キャンプでした。ブルペンでは、すでに150キロ台中盤の真っすぐをビュンビュン投げていて、これは搭載しているエンジンが違うなと思ったものです。

 身長177センチですから、最近のピッチャーとしては大きくはありません。でも、筋肉質なたくましい肉体の持ち主であることはユニフォームの上からも一目瞭然。その身体を大きく使った独特のフォームから投げるストレートには、力強さが感じられました。

 あとはフォークなり、スライダーなり、ウイニングショットになる変化球に磨きがかかれば、一軍でも通用するはずだというのが当時の私の見立てでした。

 結局、昨年は一軍で18試合に投げ、1ホールド。防御率3.31。課題となったのはコントロールでした。16イニングで、与四球13個ですから多すぎです。