■神戸ビーフは大好物 愛されキャラの素顔

 その意味でもドリス獲得はフロントの大英断でした。同時に、藤川球児監督とドリスの絆の強さを感じます。

 藤川監督とドリスは16年から4年間、ともにタイガースのブルペンを支えました。他球団から声がかからないドリスに四国IL高知を紹介したのも、藤川監督だったとか。いうなれば、藤川監督はドリスにとって兄貴分的存在です。

 現在、ドリスは38歳ですが、球速はほとんど落ちていません。コンスタントに150キロを超えています。しかも、ドリスが投げるのはスピンの効いたフォーシームではなく、ツーシームのような手元で変化するボール。バッターの反応を見ると、かなり打ちにくそうですから、鋭い変化をしているのだと思います。

 メンタル面の成長も見られます。メジャーや日本の独立リーグなど、いろんな舞台を経験することで自然に肩の力が抜けたのか、すっかり落ち着いてマウンドに立っています。

 もともと気が弱いところがあって、以前は一度、弱気になるとボールが先行。修正できなくなる悪癖がありました。今は自分の状態を見極め、冷静に対応できていますね。

 日本で再び投げられる喜びも彼のパワーになっているはずです。とにかく日本が大好きで、神戸ビーフは大好物。「こんなおいしい肉は食べたことがない」と嬉しそうに言っていました。

 タイガースが用意しているマンションも気に入っているようですね。ドリスに限らずタイガースに来る助っ人選手は、住環境の良さを口にすることが多いです。マンション内には外国人コミュニティがあって、街になじみやすいんだとか。

 ドリスは持ち前の明るい性格で、チームにも溶け込んでいます。日本語ですらすら話すし、私の監督時代も、彼がベンチの空気を盛り上げていました。

 タイガースのように若い選手が多いチームにとって、ドリスは貴重なムードメーカーです。本当に素晴らしいベテランを補強したと思います。頑張れ、ドリス!

矢野燿大(やの・あきひろ)
1968年12月6日生まれ。90年ドラフト2位で中日ドラゴンズへ入団。97年オフにトレードで阪神タイガースへ移籍すると、正捕手としてチームの躍進を支え2度のリーグ優勝に貢献。