■結局、杏奈が何者かわからず…

 一方で、杏奈(松本)が瀬尾(佐野)に唐突に別れを切り出すなど、賛否が分かれたプロポーズ問題が再燃。《どうしたの。先週まで強引な展開も平和で楽しかったのに。この後展開があるんだろうけど、ここに来て別のものをずっと、見てる感じだった》など、仕事と恋愛、どっちつかずでガタガタした展開にとまどう声も多い。

 最終回直前だというのに、どうも杏奈の言動がしっくりこず、感情移入しずらい。その原因は主人公なのに、杏奈のバックグラウンドがほとんど説明されていないからではないだろうか。

 これまで杏奈について描かれたのは、過去はシゴデキだったこと、「キッチン迫田」の夫婦仲を壊したことぐらい。しかし、それらが杏奈自身の現在のありかたにどう影響を与えたのかが、よくわからないのだ。また、本作のテーマは“好き”なのだから、もともと杏奈が“好き”がわからなかったことに何が影響していたのか説明してくれれば、いろいろとしっくり来ると思うのだが。

 さらに、押し入れで謎な自作曲「やらかしガール」を歌うのも、はっきりした説明はない。彼女の人となりがちゃんとわかれば、仕事でも恋でも杏奈の言動に納得できるし、応援する気にもなるが、それがないので、やたらにモヤモヤしてしまう。瀬尾とドタバタやっている暇があるなら、杏奈をもっと描くべきだったのではないか。

 シゴデキなコンサルだけど、意外に卑屈で弱いところがある、そんなアンバランスなキャラをちゃんと描いていれば、視聴率もここまで伸び悩むことはなかったかもしれない。杏奈・松本若菜を活かしきてなかったのが、敗因ではないだろうか。

 最終回では、杏奈がMERRYのコンサルになるのだが、それは裏切りなのか、策略なのか? 仕事も恋も納得のいくラストを見せてほしい。

(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。