もう旅行は庶民が手軽にできるものではなくなってしまったのか──。 夏休み、GW、年末年始といった大型連休で外出を控える動きが加速化している。

「ブックオフグループホールディングス株式会社が実施した“夏休みの過ごし方と自宅整理に関する意識調査2026”では、約67%が夏休みに“自宅で過ごす”と回答。夏休みに関しては猛暑の影響も否定できませんが、やはり家計の大きな負担となっているのはホテルや旅館など宿泊代の高騰です」(観光情報誌ライター)

 いまや東京や大阪など大都市圏ではビジネスホテルでも1泊1万円台後半は珍しくない。繁忙期ともなれば、2万円、3万円も当たり前。“若者のホテル離れ”が叫ばれるのも当然だろう。

 だが、ホテル評論家で『すごいビジネスホテル図鑑』(イカロスMOOK)などの著書を持つ瀧澤信秋氏は「コスパだけの問題とは言いきれない」と現状を分析する。

「ホテル高騰に影響を受けているのは若者に限らずですが、旅にかけられる費用という点では相対的には若者が際立つ点もあるかと思います。ただし、たとえば近年、“推し活”というマーケットが非常に大きくなっていますよね。人気アーティストのコンサートがあれば、普段の何倍にも跳ね上がったホテル代や飛行機代を払ってでも若者は押し寄せます。“お金がないから出かけない”という単純な話ではないと考えています」(瀧澤氏=以下同)

 とはいえ、多くの人が、宿代が高すぎると感じているのは事実。そもそもなぜここまで日本の宿泊費は高騰したのか? 瀧澤氏は「料金を上げれば、確かに利益は生まれる土壌になるのでしょうが、直情的にホテル側がウハウハという図式と考えるのは少々安直かもしれません」と舞台裏を語る。

「そもそもホテルの運営形態は、建物や土地を自社で所有していないケースが多い。これは有名な大手ホテルからビジネスホテルまで総じて言えることですが。要は不動産としてのホテルオーナーと運営会社は賃貸契約など締結するところ、賃料だけみても固定賃料や変動賃料など条件も様々です。たとえば“部屋も埋まって儲かっているみたいだから賃料を上げたい”とオーナーが考えることも容易に想像できます」

 客商売で値段をむやみに上げると、“レピュテーションリスク”を抱える危険性がある。それまで5000円だったものが1万円になったのにサービスも内容が変わっていないとなれば、「高くなっただけじゃないか!」と評判が下がるのは当然だ。ホテル側も本音では値上げに踏み切りたくない部分があるという。

「値上げとレピュテーションへの影響はどうであれ、料金を上げる以上はコストをかけてサービスをブラッシュアップすることは大切と考えるホテル運営会社も多くあります。また、宿泊代が高くなっている理由として物価高や円安の影響も当然あるし、慢性的な人材不足にも苦しんでいる。とにかく人が集まらないんですよ。ホテルは人的サービス業という面も強いのでAIやDX一本槍で省人化をすすめることは馴染まない部分もある。たとえば、清掃スタッフの人手不足も喫緊の問題として叫ばれていますか、結局、人件費の高騰に繋がったりリネンサプライのコストも高くなっている。行き着くところ、いまそうしたコストも客室料金に転嫁しなくてはならないリアルな実情があります」