■最近はしっかりした運営の民泊施設も

 だが、その一方で“ホテル高騰時代”に呼応するような新サービスも続々と登場している。その象徴的な存在がJR東海の「東海道ルミエールエクスプレス」。これは新幹線版の夜行列車と呼べるようなサービスだ。

「宿泊代不要で、旅行先での滞在時間を長く確保できると話題になっています。東京発・新大阪行の場合、東京を午後10時台に出発し、岐阜羽島駅で約6時間の停車。乗客は車内で一夜を過ごし、午前7時前に京都、新大阪へ到着するという流れです。新幹線なのでギュウギュウ詰めの狭いスペースのイメージよりは快適かもしれません。今はまだ話題性先行といった感じですが、私は鉄道ファンでもあり個人的には単純に電車に泊まるのってワクワクします」

 さらに「安いのに意外と居心地はいい」と評価がうなぎのぼりになっているのが“コンテナホテル”だ。これは貨物輸送などに使う巨大コンテナを客室として利用するホテルのこと。外観は無骨だが、テレビ、Wi-Fi、ユニットバスなどが装備されているなどビジネスホテル並みのサービス内容になっている。

「災害時の仮設宿泊施設としても使えますし、今の時代にマッチしていると思います。コンテナホテルの場合は土地も建物も自前のことが多いので、フレキシブルな料金設定が可能になるのでは。結果として安く泊まれる遠因かもしれません」

 Airbnbをはじめとする民泊も、既存の宿泊施設不足を補完すべく勢力を伸ばしている。

「民泊は周辺住民との軋轢などトラブルのイメージも強く、ネガティブなイメージも広がってきました。ただ、今はホテルライクのサービスを提供する民泊も増えていますし、おしゃれでカッコいい内装や家具が揃っていたり、しっかりした運営の施設も際立っています。運営する側も単なる投資対象として捉えるのではなく、きちんと真面目に宿泊サービスを考えないと生き残れない時代になっています」

 そのほか、安い宿を探すコツとしては新規開業したばかりのところを重点的に探すのがお薦めだという。“みんなが知らない宿”は競争率・稼働率が低いことが多いからだ。

「あとは“ウルトラC”として一般利用できるレジャーホテル……つまりラブホテルの使用を選択肢に入れてもいいかもしれません。ラブホテルは宿泊需要が低迷さているといわれ、そもそも宿泊予約サイトには掲載されない施設も多く予約の競争率やホテル高騰とは縁遠い存在かもしれません。一般客やビジネス客の宿泊も取り込みたいと考えているところ、より一般ホテル的な施設も際立ってきていますし、ロビーのフリードリンクや客室のアメニティなどサービスも手厚い業態です。抵抗感のある人もいるでしょうが利用するしないは別として、選択肢として知識として備えておくことに損はないでしょう」

 まずは“泊まる場所”の常識を捨てることから始めるべきかもしれない。

瀧澤信秋(たきざわ・のぶあき)
1971年生まれ、長野県出身。ホテル評論家。国内のホテルや旅館などを対象に、利用者目線やコストパフォーマンスを重視する現場取材を徹底。年間平均300泊、これまで3500軒超の国内施設へ宿泊している。著書に『辛口評論家、星野リゾートに泊まってみた』 (光文社新書)、『最強のホテル100 (ホテル評論家が自腹で泊まる!)』(イースト・プレス)ほか。