日本競馬界のレジェンド・武豊が名勝負の舞台裏を明かすコラム。9月21日のGII・神戸新聞杯ではエムズビギンに、9月26日のGIII・シリウスSではギュルヴィに騎乗予定の、彼のここでしか読めない勝負師の哲学に迫ろう。

(以下の内容は2026年9月14日に寄稿されたものです)

 秋競馬の開幕戦となった9月5日の中山競馬。“これは!”と思うような走りを見せてくれたのは、ダート1200メートルで行われた6Rの新馬戦を快勝した外国産馬のポッドビートでした。

 6枠10番から勢いよく飛び出したポッドビートは、スピードに乗りグングン加速。4馬身、5馬身、6馬身と差を広げ、最後は後続に10馬身差をつけ、余裕のゴール。

 まだ、スピードに任せた一本調子の走りで、相手が強くなったときにどうかは断言できませんが、競馬を覚え、もう少しコントロールが効くようになれば、やってくれそうです。

 惜しかったのは、ダイワメジャー産駒のエコロブルームをパートナーに挑んだメインレース、GIII京成杯オータムハンデキャップ。

 トップハンデの58キロを背負ったエコロブルームは、先頭から4〜5番手のインを追走。直線を向くまではほぼ完璧なレースだったと思います。

 ほんのわずか誤算があったとすれば、4コーナーを回った直後です。一瞬、外にモタれた隙を、最軽量となる53キロのピコローズに突かれてしまいました。

“あそこさえ、なかったら……”。長い騎手生活の中で、数多くそういう経験をしてきましたが、何度味わっても、この悔しさが減ることはありません。

 9月6日は阪神競馬に参戦。この日の1勝目は、10RオークランドTRTで、パートナーは、初めてコンビを組んだヨリノレジェンドでした。

 レース前半は中団の馬群の中でしっかりと脚をため、直線では、僕のGOサインに鋭く反応。次はオープンですが、この日の競馬ができれば、十分に通用すると思います。