■もったいなかった松本若菜
そんな変化球の演技だけでなく、刑事・鴨居を演じる岡山天音(32)に正面からぶつかる、感情丸出しの演技も素晴らしかった。25年後期のNHK朝ドラ『ばけばけ』、26年1月期の同局夜ドラ『替え玉ブラヴォー!』と順調に評価を高めてきたが、本作は全話平均視聴率が世帯で2.9%と振るわなかったのは残念。今後、話題作へのメイン出演がかなえば、その評価は一気に高まるはずだ。
そして、『君の好きは無敵』(TBS系/火曜よる10時~)で、元コンサルの主人公・草壁杏奈を演じた松本若菜(42)だ。本作は、キャラクタービジネス業界を舞台に、“かわいい”も”好き”も理解できない杏奈が、偏屈なキャラクターデザイナー・瀬尾深月(M!LK・佐野勇斗/28)とともに奮闘するポジティブ&パワフルラブコメディ。
24年7月期の『西園寺さんは家事をしない』(同局系)など、出演作がヒット連発の松本に、アイドルと俳優で活躍している佐野と旬の2人が組んだが、全話平均視聴率は世帯で2.9%と撃沈。松本はシリアスからコミカルまで幅広くこなす演技力はあるが、今回はやりすぎ感が強すぎて、松本若菜劇場が空回りしていた。
これは松本というより、『西園寺さん~』の二匹目のどじょうを狙った制作側の責任だろう。『西園寺さん~』は原作があったためキャラ造形はしっかりしていたが、本作は、“シゴデキ”なのか”うかつ”なのかはっきりせず、感情移入がなかなかできなかった。松本の力はこんなものでないはず。しっかりとした作品への出演に期待だ。
脚本や演出など、ドラマの出来具合には多くの要素が関係するが、キャストの演技はやはり大きい。今回の3人は芸達者揃いなので、今後も期待したい。さて、10月から始まる秋ドラマでは、どんな女性俳優が輝きを見せてくれるだろうか。
(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。