■酒を飲まないのに発症した2人

 つまり、この病を発症したら時間との勝負。前出の貴闘力氏も入院期間が10日ほどですんだのは、「発症してすぐに病院に行ったから」と振り返っている。

 では、脳梗塞にかかりにくくする方法はあるのか。

「最大の引き金は動脈硬化です。原因は高血圧・糖尿病・コレステロールの異常など、食事や生活習慣が深く関わっています」(前出の菅原道仁氏)

 前出の貴闘力氏の現在の体重は105キロ。現役時代から50キロ近く減ったというが、「還暦手前で、この体重はオーバー気味だと思う」と自己分析し、こう続ける。

「意外と思われるかもしれないけれど、オレは力士時代から、酒はまったく飲まない。サンドの伊達さんも、そうらしいね。ただ、その分、ストレスを食べ物で解消していたのかもしれないね」

 食生活で最も気をつけたいのは、血圧を上げやすくしてしまう塩分を摂りすぎないことだ。

「塩分は1日6グラム未満が目安。みそ汁は1日1杯、麺の汁は残す、といった習慣づけや、塩分排出を促すカリウムを多く含む野菜や果物、血管を守る効果のある青魚を意識的に食べることが大切です」(菅原氏)

 ちょっとした生活の改善も、脳梗塞のリスクを抑えることに繋がるという。

「息が少し弾む程度の早歩きを1日30分、週3回以上行う。あとは禁煙と節酒。たばこは、やめた瞬間から血管の回復が始まります」(前同)

 定期的な検診も重要だ。

「心房細動という不整脈は、心臓の中にできた血の塊が脳に飛んで太い血管を詰まらせることがあります。動悸がする人は心電図を受けましょう」(同)

 大事なのは、生活習慣の改善と、異変を感じたらすぐに医師にかかること。肝に命じてほしい。

菅原道仁(すがわら・みちひと)
1970年、埼玉県生まれ。杏林大学医学部卒業後、クモ膜下出血や脳梗塞などの緊急脳疾患を専門として「国立国際医療研究センター」に勤務。脳神経外科専門の「北原国際病院」(東京・八王子市)勤務を経て、2015年6月に「菅原脳神経外科クリニック」、2019年10月に「菅原クリニック 東京脳ドック」を開院。「人生目標から考える医療」のスタイルを確立し、心や生き方までをサポートする医療を行う。テレビ出演や著書も多数。