■秀長が地味だから輝く武将たち

 X上でも《今回、「秀長主人公」ものとして満足度過去イチだったかもしれない。光秀や勝家や家康がどうしても「秀吉の相手」だったのに対して、元親って明確に「秀長の相手」なんですよね。元親自身の良さに加えて、秀長との独自の関係性を魅力的に描き切ってくれたことの満足度がある》などと、反響が大きい。

 地味と言われ続けた秀長(仲野)だが、秀吉(池松)の補佐役として間を繋ぐ役割だからこそ、元親(磯部)や家康(松下)など周辺人物を多角的に描けるメリットが出てくる。今回の元親回は、それがはっきり見えた回だった。この、主人公に補佐役をやらせるという手法なら、すでにネタ切れに陥っている戦国もの大河を、新鮮な形で生まれ変わらせることもできそうだ。

 また、自分主導で動くのではないので、ライバルを倒していく描写も減ることになり、人を傷つけない情け深いキャラも設定できる。X上では、《令和らしいヒーロー》という指摘があったが、ひたすらに頂点を目指す戦国ものとは違う、新しい大河の主人公を作り出せるのだ。本作は史実改変の荒唐無稽さが目立つが、それとは違う意味で、大河ドラマに新しい風を吹き込んだといえる。

 次回は、四国平定の恩賞として、秀長は秀吉から大和一国を与えられるが、大和では興福寺をはじめとする寺社勢力が絶大な権力を持ち、利権を独占している。高額な年貢に領民が苦しんでいると知った秀長が、寺社勢力を相手にどんな調整力を見せてくれるか楽しみだ。

(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。