■物資が届かなくなるのでは…

 また、今回の規制強化は生活道路の走行割合が高いさまざまな業界へ大きな影響を及ぼすとの予測も…。とりわけ懸念されているのが、人手不足とドライバーの時間外労働規制に直面する宅配・物流業界です。配送センターから個々の自宅やオフィスへ荷物を届ける配達区間では、狭い住宅街を走る機会が多く、走行速度の低下によって1日あたりの配送ルート全体の所要時間が大幅に増加。配送スケジュールに遅れが生じる可能性も。

 さらに、住宅地に乗り込むタクシーやハイヤーも移動時間の増加による利用料金の上昇や需要減退が危惧されるほか、要介護者の自宅と施設の間を送迎するデイサービスなどの介護業界でも送迎枠の縮小や人手不足の深刻化が指摘されるところです。地方の集落を巡回する灯油販売車や移動販売車、夜間に帰宅を支える運転代行業など、地域の生活インフラを支えるビジネス全般において、運行効率の低下や燃料費・整備コストの増加が価格へ転嫁される動きも否定できません。

 ネット上でも、「配送の指定時間があるのに30キロ厳守となるとドライバーの負担が増して物資が届かなくなるのでは」「送迎バスやタクシーの到着時間が遅れて日常生活のスケジュールに支障が出そう」「標識がない場所ごとに中央線の有無を瞬時に判断して運転するのは思った以上に神経を使う」といった不安の声が聞かれます。

「安全対策としての意義が大きく期待される一方で、不安視されているのが、ルールを厳守して時速30キロで走る車に対し、制度変更を知らない後続車がイライラを募らせて煽り運転を引き起こすトラブルです。物流や各種配送の現場はもちろん、一般のドライバーにとっても精神的な負担を強いられることになるかもしれません」(社会部記者)

 ハンドルを握る一人ひとりがルールを把握し、ゆとりを持った運転と落ち着いた対応を心がけたいところです。

戸田蒼(とだ・あおい)
トレンド現象ウォッチャー。大手出版社でエンタメ誌やwebメディアの編集長を経てフリー。雑誌&webライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。