■友達のふりをした敵

 一方、より個人的な感情や集団内の距離感を表す言葉として浸透しているのが「フレネミー」です。これは友達の「フレンド」と敵の「エネミー」を組み合わせた言葉で、表向きは親しく接しながら、裏では嫉妬や悪口、足の引っ張り合いをする「友達のふりをした敵」を指します。

「メイクでうまくシミ隠せてるね」と褒め言葉を装いながら肌の悩みを暗に指摘したり、「プリの顔、めっちゃ盛れてるね」と写真と実物のギャップを遠回しにほのめかしたりするのがその典型です。

「JC・JK流行語大賞2026上半期」のコトバ部門で2位に入るなど、女子中高生や大学生を中心に日常会話へ定着。SNSを通じて人とのつながりが常時可視化される環境が人間関係をより複雑にし、漠然と感じていたモヤモヤや疲労感を説明する言葉として再注目された形です。

 ネット上でも、こうしたイマドキの人間関係に対しては、《物価が上がって給料が増えない以上、気乗りしない飲み会に行く余裕がないのは当然》《仲が良いと思っていた子に、SNSの写りが微妙な写真だけを投稿されて地味に傷ついたことがある》《ストレートに怒るとグループ内で浮いてしまうから、フレネミーくらいがちょうどいい》といった声が聞かれ、共感や諦めが入り混じったリアルな本音が飛び交っています。

「フレンドフレーションは物価高による生活防衛意識の表れですが、リターンやコスパだけで人間関係を選択していくと、偶然の出会いや予期せぬ交友から得られる成長機会を逃す恐れもあります。一方のフレネミーには、ネガティブな意味合いだけでなく、『それフレネミーじゃん』とノリやツッコミとして返せるようになったことで、人間関係のモヤモヤを笑いに変えるためのツールとしても機能しているようです」(生活情報サイト編集者)

 どちらの言葉も、SNS時代における人間関係に疲れや生きづらさを抱えながらも、自分なりの距離感を模索する若者たちの複雑な葛藤を映し出しているのかもしれません。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。