■会長の流した涙を忘れず悲願のVへ
すべてのシーンが頭の中に刻まれていますが、思い出すのは、昨年お亡くなりになったメイショウの総帥・松本好雄オーナーの愛馬、メイショウサムソンと挑んだレースです。
当時のロンシャン競馬場は、検量室からパドックまで、ガラスの通路を上から降りて行く作りになっていて。メイショウの勝負服を着て、その階段を降りて行く僕を見た会長が、涙を流していた姿は忘れることができません。
「いつか、もう一度、一緒に」という約束は果たせませんでしたが、きっと、メイショウタバルと挑むレースを、天国から見守っていてくださるはずです。
同じく日本から挑戦するアドマイヤテラとともに10日、シャンティイの小林智厩舎に到着。フランスギャロが、「フランスへようこそ。彼らの凱旋門賞への冒険が、ここから始まります」というメッセージを公式Xで綴ってくれましたが、ただの冒険で終わらせたくはありません。
日本馬で初めて頂点に立つのはメイショウタバルであり、初めての栄冠を手に知る騎手は、この僕、武豊であってほしい。
日本の日の丸を心に抱き、覚悟と強い意志を持って、凱旋門賞に挑みます。発走は、10月4日、23時5分。皆さんの応援を力に換え、最高の結果を出したいと思います。
武豊(たけ・ゆたか)
1969年3月15日、京都府京都市生まれ。1987年3月1日にJRA騎手デビュー。翌1988年、スーパークリークで菊花賞を制しGI初勝利。以後、オグリキャップ・サイレンススズカ・スペシャルウィーク・ディープインパクト・キズナ・キタサンブラック・ドウデュースなど歴代名馬の手綱を取り、国内外GI通算100勝超を達成した“レジェンドジョッキー”である。2018年9月には史上初のJRA通算4000勝、2024年度JRA賞特別賞と黄綬褒章を受章、2026年7月12日には前人未到の5000勝を達成した。現在もトップクラスで騎乗を続ける“競馬界の第一人者”兼“最多記録更新請負人”。