■平和な『豊臣兄弟!』では物足りない?

 X上では《長尺アバン使って描いた蜂須賀正勝のラストシーン、秀吉、秀長、長康と四人の顔が一枚に収まる構図に愛を感じた》《ガチで百姓を知ってる秀長、同時に信長に長く仕えて理知を身につけた秀長、その両方の長所が出た痛快な回でした》などと、内容に対する絶賛の声が多い。

 しかし、視聴率は番組ワースト2位。やはり合戦シーン、あるいは武将同士のドロドロの駆け引きがないと、大河ドラマファンは離れてしまうのだろうか。実際、11.3%を叩き出した第27回「本能寺の変」以降、11%台に乗せたのは家康回だった第34回「最強のライバル」だけ。それに比べるとここ3回は平和すぎで、刺激が少ないのは否めない。

 次回は、庄屋・石川清兵衛役の伊藤健太郎(29)に続き、絵師・狩野永徳役で片岡鶴太郎(71)、筆屋・才蔵役で間宮祥太朗(33)が登場。奈良の豪商たちが立ちはだかってきて、今回のように秀長の駆け引きがいろいろ見られそうだ。いかにも『豊臣兄弟!』らしい内容だが、今回がこの数字では2ケタ復帰さえも難しいかも。

 放送は残り3か月を切った。秀吉(池松)と茶々(井上和/21)、秀次(山田涼介/33)と不穏な要素を見せつつあるが、それらのゴタゴタが始まるのは秀長の死後のことで、描かれる可能性は低い。ドロドロ劇はあまり見られず、今回のような、秀長仲野)らしさ全開、名作時代劇のような展開が増えそうだが、残念ながら数字的に厳しい状態が続くかもしれない。

 大胆に史実を改変して描かれるなど、確かに異色の大河だが、登場人物のキャラは立っているし、脚本もよく出来ている。次回、帝から特別な許しを得て、羽柴秀吉が新しい「氏」を名乗ることになるという、大きな展開も迎えそうなので、見ないのはもったいないとは思うのだが……。

(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。