日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が、本サイトで現代の時流を徹底解説。いま戸田氏が注目するのは、変わりゆく「昭和の家族モデル」についてだ。
最近、テレビやSNSで《主婦年金が廃止されるのではないか》《配偶者の扶養に入っていると将来、年金がもらえなくなるのか》といったワードや噂を耳にし、これからの生活や働き方に不安や戸惑いを感じた人もいるのではないでしょうか。
現在のところ、“主婦年金”と呼ばれる「第3号被保険者制度」の廃止が正式に決まったわけではありませんが、将来的な縮小や見直しに向けた議論は続いており、今後の動きが注目されています。
主婦年金と称されているのは、会社員や公務員といった厚生年金加入者に扶養されている配偶者が、自分で国民年金保険料を納めなくても、老後に老齢基礎年金を受け取れる仕組みです。1985年の制度開始時には、夫が外で働き、妻が家庭を担う世帯が多く、専業主婦の女性にも老後の年金を保障することが目的でした。
ところが現在は、家族の働き方が大きく変わっています。共働き世帯が増える一方、第3号被保険者は本人が保険料を負担しないため、独身者や夫婦ともに働く世帯との公平性をどう考えるかが長く議論されてきました。政府が進める社会保険の適用拡大には、こうした世帯の働き方の変化に、制度を合わせていく狙いもあると見られます。
背景には人手不足も……。扶養の範囲を超えると社会保険料の負担が生じるため、パートで働く人が勤務時間を抑える「就業調整」が問題になってきました。政府は社会保険の適用範囲を広げ、こうした“働き控え”を減らそうとしています。2026年10月には「106万円の壁」と呼ばれてきた、社会保険に加入する義務が発生する年収のボーダーライン基準がなくなります。こうした変更によって、いきなり主婦年金をなくすのではなく、まずは第3号被保険者から社会保険に加入する人を増やそうというわけです。
ネット上でも、《扶養内で働く前提でシフトを調整してきたので、制度が変わるなら働き方を考え直さないと》《共働きで保険料を払う側からすると、見直しには理解できる》《家事や育児、介護を担う人への評価も忘れないでほしい》といった声が聞かれます。