魂の伝道師、ラモス瑠偉のコラム。

 今年2月から6月まで開催された「Jリーグ百年構想リーグ」。この大会では、全カテゴリーの中での最多得点者が「釜本邦茂賞」として表彰されました。

 釜本邦茂さんは、男子の日本代表歴代最多の国際Aマッチ75ゴールという、目覚ましい記録を持つストライカーです。惜しくも、昨年8月に81歳で逝去されました。

 釜本さんが活躍した1960~70年代は今のように国際試合が数多く組めなかった時代でした。そういう中で76試合出場75得点という数字を叩き出したのは、偉業以外の何物でもありません。89試合出場55点の三浦知良さん、119試合出場50点の3位・岡崎慎司さんも素晴らしい結果を残しましたが、釜本さんは、ほぼ毎試合ゴールを挙げている計算になりますから、他の選手と比べてもケタ外れの実績ということが分かります。

 釜本さんはゲームから逃げないし、ポストプレーに長けていて、シュートも左右の足に頭と、多彩でした。私が日本リーグで初めて対戦したとき、トラップしてから瞬時に足を振ってシュートを放つシーンを目の当たりにして、「日本にこんなにも素晴らしい選手がいるのか」と、本当に驚かされました。

 日本が68年メキシコ五輪で銅メダルを獲得したことは広く知られていますが、大半のゴールを釜本さんと杉山隆一さんが挙げていた。そこは今の代表との大きな違いでしょう。

 今は三笘薫選手、鎌田大地選手、久保建英選手といったあふれるアイデアと技術を欧州で見せつけている選手がそろっていますし、同様に、サイドには伊東純也選手や中村敬斗選手らがいます。彼らが、非常に素晴らしいチャンスメークをしてくれることで、最前線の上田綺世選手の得点チャンスが自ずと多くなります。そのような世界レベルのサポートがない中で、釜本さんは得点を量産していましたから、やはりその偉大さは格別と言えます。