浅草キッドの玉ちゃんが、“昭和オヤジ”としての矜持とユーモアを胸に、同世代にエールを送る人生コラム。ともに令和を生き抜く、イケてる“老Guy”を目指そう。

 スナックを10年やってると、お客さんの転機が見えたりする。

 開店以来毎週、来てくれるお客さんがいて、彼は自分が何やってるか言わないの。そういう人だと気づいたアルバイトレディたちも聞かないようになる。それがスナックの湯加減なんだ。

 その彼が、60で定年したそうだよ。オレより年上。ヒゲもボーボーにしてさ、

「もう世捨て人ですよ」

 なんて笑ってんだけど。もともと趣味人だから、バンドの追っかけしてるみたい。独り者だろうし。謎は多いけど、いい人なんだよ。

 彼は「あの人が好きだ」というファン活動に重心を置く。家族や人間関係には重心を置かねえんだよ。人生の達人だと思うね。

 ところで、これからのオレは「人情ふわふわの紙風船」で生きていくって決めたんだ。紙風船が、ポイッと舞ったとき、誰かがレシーブしてくれたら、またポイッと上がるよね。まったく人に頼らないというのはダメ。一人では人は生きていけないんだから。