■『ポリティカルパン』は『銀河の一票』か?

 X上でも、《初回から大泥棒するのかと思ったら秘密の金庫の大泥棒するための基盤作りから始まるとは…!テンポの良い会話劇があっても主軸が崩れぬ構成と、締めるとこはきっちり締めてくるところ大好きなんだが、初回から完璧にきたよ。架空の国だからこそ攻め入るところありそうで楽しみだ…》などと好評だ。

 豪華キャストは期待通り。石原さとみ(弥生)、渡部篤郎(パウロ)、河合優実(雅)に、高橋一生(45/与党のエリート議員・夏目将門)と、バチバチの演技合戦は見応えあり。衆議院議員選挙に雅と同じ選挙区に出馬することになる、兄・颯役の寛一郎(30)もナイスな浅はかボンボンぶりを見せ、なんの心配もいらない顔ぶれだ。

 素人を選挙に引っ張り出すなど、黒木華(36)主演の今年4月期放送『銀河の一票』(カンテレ制作、フジテレビ系)を思い浮かべた人も多かった。政治の問題に切り込むあたりは似ているが、雅を選挙に引っ張り出す理由が“金目当て”というあたり、『銀河の一票』の裏バージョンというところか。

 また、弥生が雅に「あなたを盗んであげる」と告げるセリフは、明らかにアニメ映画『ルパン三世 カリオストロの城』のオマージュで、《如月弥生がルパンなら小早川雅はクラリスなんだな》という声も。そして、ニッポニアの国獣が“たぬき”だったりと、まじめに切り込むところは切り込みながら、基本はエンタメで展開していくのだろう。

 ただ、脚本の野木亜紀子氏が自身のXアカウントで、第2話で早くも「選挙を一週で駆け抜けます」と明言しているあたり、メインは選挙ではなさそうだ。問題はそのあとで、政治に本気になりつつある雅(河合)、執行部に明らかに不満のある夏目(高橋)という配置を見るに、ひと筋縄ではいかない展開になるだろう。

 社会派の話題作は、『エルピス-希望、あるいは災い-』や前述の『銀河の一票』など、系列局のカンテレ制作が多かったが、本作はフジテレビ制作で、プロデューサーは野木氏と社会派ドラマ『フェイクニュース』(NHK総合)、『フェンス』(WOWOW)に続いてタッグを組む北野拓氏。同局の起死回生の一作となるだろうか。

(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。