■ベキが生きている必然性

 X上でも、《VIVANTらしからぬ作戦の甘さがなぁ。車を破壊するのって敵が車に乗ってからのほうがいいし(電波の距離があるなら途中で待ち伏せ)、道に仕掛けた爆薬もヘボいし(もっと数を増やせよ)、なんなら追ってくる前提なら途中で待ち伏せして叩いたほうが良くない?モヤるなぁ》などと不満の声が少なくなかった。

 このシーンの不自然さは、東条が爆破を担当すれば、見ている側はハラハラするだろうという、制作サイドの狙いなのだろう。その前のシャキ城を舞台にした、乃木(堺)たちとシンシーの兵士との戦闘シーンが迫力満点だったこともあって、必然性のない東条による手動での爆破スイッチ描写は興ざめだった。

 また、考察に関しては、柚木薫(二階堂ふみ/32)はテントのモニターではないかという声があるが、特に目新しいものではなく、それで盛り上がるとは思えない。番組側が考察を煽っていたことも手伝い、仮説もいいかげん出尽くしてしまったのだろう。そんな中、根強く語られるのが“ノゴーン・ベキ(役所広司/70)生存説”だ。

 本作は“冒険”のストーリーをうたう一方で、“家族”や“愛”をはしばしで強調してきた。乃木と薫、乃木とベキとノコル(二宮)は言うまでもなく、拷問では必ず家族への思いを利用している。今回はちょっとわざとらしいぐらいに、ブルーウォーカー(花岡すみれ/22)が黒須(松坂桃李/37)を好きだという描写が入っていたが、これもその一環だろう。

 その家族と愛というキーワードから考えると、ベキが生きているという説は十分にある。これだけ家族を強調しておいて、乃木の父殺しを肯定するとは思えないし、盛り上がり的にも、ベキの登場を最終盤のヤマ場に持ってくるだろう。ノコルもそこに加われば、感動のラストになること間違いなしだ。

 しかし、この仕掛けが空振りに終わる可能性がある。なにしろ、本作ではさんざん「死んだと思ったら生きていた」を繰り返してきた。ベキが生きていたとしても「ふうん」という感想しか出てこないというのが、正直なところ。視聴者を驚かせるために「実はなになにだった」を乱発したツケというべきか。

 もちろん、『VIVANT』なのだから、まったく予想外の結末を迎える可能性もある。できるなら、そちらでお願いしたい。次回予告には、リュウ(堺・二役)がドラム(富栄)に銃を向ける姿、変装して逃走を図る乃木らに立ちはだかるシンシ―の包囲網が見られ、さらにノコルが救世主になることが匂わされているが、果たして……。

(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。