■日本が世界最大の標的に
具体的には、画面に「私はロボットではありません」と表示され、チェックを入れると数字の入力やキーボード操作を促されるケースが確認されています。指示に従ってWindowsキーとRキーを同時に押し、さらにCtrlキーとVキーを押してエンターキーを打つと、知らない間にコピーされていた不正なコマンドが実行され、パソコンがウイルスに感染するという巧妙な流れです。攻撃者がシステムへ直接侵入するのではなく、利用者を騙して自らウイルスを実行させる点が大きな特徴と言えます。
最近では、生成AIの画面になりすます手法や、広告ブロック用の拡張機能を悪用する手口など、入り口の多様化も進行。さらには、パスワードを入力させずにSNSやクラウドサービスのアカウント連携権限をそのまま横取りする高度な攻撃も出現しており、被害の拡大が懸念されるところです。
ネット上でも、
《ロボット確認の画面でキーボード操作を求められたけれど、違和感を覚えて中断した》
《急にエラーが出て焦って指示通りに操作しそうになったことがある》
《セキュリティ対策の画面だと思い込んでいると、疑わずにそのまま進めてしまう》
といった経験談が寄せられています。
「日本が世界最大の標的となっている背景には、生成AIの進化によって日本語の不自然さが目立たなくなったことに加え、攻撃者にとって“最もコスパの良い標的”となっている事情があります。日本企業は信用の失墜を恐れて身代金を支払ってしまう割合が高く、セキュリティ対策が十分でない下請け企業を経由して大企業の情報を盗み出しやすいことも、狙われる要因の一つです。また個人についても、端末の操作には慣れていても、その仕組みまで十分に理解していない人が多いことが背景にあると考えられます。不審な指示が表示された場合は操作を中断してブラウザを閉じ、万が一指示に従ってしまった場合は、すぐにインターネット接続を切ったうえで、パスワードの変更やカードの利用停止などの対応を取ってください」(IT事情に詳しいジャーナリスト)
本来は安全を守るための認証仕組みを悪用し、人間の心理的な隙を突いて自らウイルスを実行させるClickFix攻撃。画面に表示される指示を鵜呑みにせず、提示された操作の意味を一度立ち止まって確認する意識が肝要です。
戸田蒼(とだ・あおい)
トレンド現象ウォッチャー。大手出版社でエンタメ誌やwebメディアの編集長を経てフリー。雑誌&webライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。