■今季のテルが示した打席での成長の証拠

 以前まではバットを思い切り振って遠くに飛ばせばいいという打撃スタイルでした。ところが、今は小さく振ってもボールは楽々、スタンドイン。無理して遠くに飛ばしている感じがまったくありません。だから、好不調の波も少なく、高打率をキープすることができました。

 昨シーズン、本塁打と打点の二冠に輝いた自信もあるんでしょう。今シーズンのテルには気持ちの揺れが見えません。

 私はプロ野球選手も悔しいときは悔しがり、嬉しいときは大喜びすればいいと思っています。でも、今のテルは、そこから一段上のレベルに行っています。

 チャンスで打席が回って四球で歩かされても、「なんや、勝負せんのか」といった態度は一切、見せません。平然と一塁に歩きます。

 この姿、味方にとっては頼もしい限りだし、相手にとっては相当、怖いはず。ポストシーズンでの打棒爆発にも期待です。

矢野燿大(やの・あきひろ)
1968年12月6日生まれ。90年ドラフト2位で中日ドラゴンズへ入団。97年オフにトレードで阪神タイガースへ移籍すると、正捕手としてチームの躍進を支え2度のリーグ優勝に貢献。