相撲界の内情や制度、騒動の行方を、元関脇・貴闘力が現場目線で読み解く。経験者だから語れる、大相撲のリアルが詰まったコラム。
大相撲秋場所の終了後、力士たちは、1か月にわたる秋巡業に出ている。
関東、北陸、関西、中国地方などを回って、10月末の九州場所の番付発表に臨む。
この3年、本場所は毎場所、連日、満員御礼。巡業も各地で大盛況だ。日本人でもチケットがまったく取れない中、ポッと来日した外国人観光客が相撲観戦を望んでも、まず無理。
そうした「需要」を見越して、ここ数年日本各地に増えているのが、「相撲ショー」を見せる施設だ。
元力士が面白おかしく相撲を取るパフォーマンスを観ながら、インバウンドのお客さんは、弁当を食べたり、酒を飲んだりする。だいたい2時間程度のショーだけど、いい席だと1人4〜5万円も取るという強気の価格設定だ。
最近はインバウンドの外国人のツアーに「相撲ショー」が組み込まれているから、ビジネス感がますます強い。店で見せる「相撲ショー」ならまだしも、元横綱・照ノ富士が師匠を務める伊勢ヶ濱部屋では、インバウンド客に朝稽古を見せて、金を取っていることが判明して、大問題になった。
さらに、夕方には現役の力士に、インバウンド客と実際に相撲を取らせたりもしていたというから、力士が気の毒でならない。
照ノ富士は引退後、伊勢ヶ濱部屋を継承。今は東京・墨田区内に仮土俵を作って、所属力士たちは、そこで稽古をしている。照ノ富士は、新しい部屋の建設を見据えて、早くから両国国技館の近くに土地を確保していた。ところが、さまざまな問題が起こったことで、着工が遅れているようだ。