■球界を揺るがした“金銭スキャンダル”

 また、球界再編問題に揺れた04年には、明大・一場靖弘に対する“栄養費”名目の金銭授受も表面化。

 1リーグ化構想まで浮上した球界の危機とはまた別のところで、当事者となった巨人・阪神・横浜の各球団オーナーが引責辞任する事態にもなっている。

「表に出ない金銭の授受は、多かれ少なかれ、昔からあったこと。それが度を超したというのが、あの一件の本質でしょう。

 65年の第1回ドラフトで、私が西鉄から4位で指名されたときも、札束入りのバッグを持って球団社長が家まで来たくらい。警察官だった親父は断固、受け取らなかったけどね」(江本氏)

 さて、渦中の横浜高・織田翔希は10月15日、早々とMLB挑戦を正式表明した。横浜の大先輩たる愛甲氏の見解は……!?

「渡辺元智監督のお別れ会のときに、元部長の小倉(清一郎)さんとも話したんだけど、ポテンシャルはピカイチでも、完成度では松坂大輔に、まだまだ遠く及ばない。渡米は日本で、じっくり実績残してからでも遅くはないと思うよ」

 スターの卵たちの“運命の日”は、もう間もなくだ。

 ※     ※

 前編では、78年の江川事件から、85年のKKコンビの明暗、昭和の"大豊作"68年ドラフトの舞台裏まで、昭和のドラフト事件史を徹底解剖する。《前編を読む》

愛甲猛(あいこう・たけし)
1962年生まれ。神奈川県逗子市出身。横浜高校時代、夏の甲子園に2度出場し、“甲子園のアイドル”として絶大な人気を誇る。80年にドラフト1位でロッテに入団し、84年から野手に転向。89年には打率3割をマークし、一塁手としてもゴールデン・グラブ賞を獲得。西武時代の秋山翔吾に破られるまで、愛甲の535試合連続フルイニング出場がパ・リーグ記録だった。96年に中日に移籍し、2000年に現役引退。現在は野球評論家として活躍中。

江本孟紀(えもと・たけのり)
プロ野球選手として活躍後、現在はプロ野球解説者として活動。クラブチーム「京都ファイアーバーズ」の立ち上げや、タイ王国ナショナルベースボールチーム総監督として北京五輪アジア予選に出場するなど、野球界の底辺拡大と発展に尽力。著書『プロ野球を10倍楽しく見る方法』(KKベストセラーズ)はベストセラーとなる。