■KENZOのオンラインサロンのサービスには“動画拡散”オプションも
そんなKENZOは次第に、YouTubeでの活動のほかに有料のオンラインサロンを運営するようになっていたという。そこでは、月額990円・2990円・9900円のプランが用意され、それぞれで異なる詐欺撲滅のためのサービスを提供していたようで――。
「オンラインサロンでは、YouTube動画の“モザイクなし版”を視聴できるほか、“KENZO AIカウンセラー”なるものが利用できるようです。月額9900円のプランにはかなり踏み込んだ内容のものもあり、たとえば “被害届・告訴状作成支援”や“KENZO探偵事務所の利用”などのサービスが提供されています」(前出の動画制作会社関係者、以下同)
YouTubeチャンネルの拡大版といった機能だけでなく、詐欺被害対応への実務的な支援も提供していたKENZOのオンラインサロン。さらに、その“拡散力”を組み込んだサービスもあったようだ。
「9900円プランには、“不審者動画をKENZOが拡散(抑止力効果抜群)”というサービスが提供されています。これが具体的にどのようなサービスであるかは不明ですが、仮にサロン会員の依頼を受けて、KENZOが“不審者”の動画を拡散するというのであれば、場合によっては防犯のためではなく、私怨を晴らすためだけに使われる可能性もゼロではない。いわば、KENZOの拡散力が悪用されてしまうかもしれないわけです。また不審者動画の拡散が犯罪抑止につながったとしても、過剰な制裁になってしまう可能性もあります」
KENZOが逮捕された今回の名誉毀損事件では、被害者の男性は動画投稿の翌月に死亡している。有名YouTuberとしての拡散力は、それだけ強いものだとも言える。
「オンラインサロンで犯罪を抑止するためのノウハウや犯罪対応への支援サービスを提供することは、その内容が適切であれば問題ないとは思います。しかし、そこに“拡散力”の利用が組み込まれているのは危うい。KENZOにとってこの拡散力こそが自身の強みであり、収益化にも活用していたとみられるのですが、その使い方についてはもっと慎重であるべきだったと言えるのではないでしょうか」
YouTuberにとって拡散力をマネタイズするのは自然なことなのかもしれないが、その影響力の大きさを考慮する必要があるのは間違いない。刺激的なコンテンツが支持される時代だからこそ、発信するすべての者がその影響力について、いま一度見つめ直すべきなのかもしれない。