もはやメガネすらも人工知能が必須の時代となるのか──。最近、“AIメガネ(AIグラス/スマートグラス)”なるデバイスを耳にする機会が増えてきた。見た目は通常のメガネと変わらないが、かけることでリアルタイムな翻訳、写真撮影、メッセージ送信、道案内までできるという。まるでSFの世界ではないか。
「攻勢を強めているのはFacebookやInstagram で知られるMetaで、先行して日本市場を開拓してきました。一方、GoogleもGeminiを搭載した次世代モデルを発表。他社も続々と参入を表明しており、“AIメガネ戦国時代”に突入しつつあります」(ガジェット誌編集者)
実際に複数の製品を試したというテクノロジーライターの小寺信良氏が、AIメガネの特徴を説明する。
「スマートスピーカーを家の外へ持ち出せるようにした。そう考えると、AIメガネの本質がイメージしやすいかもしれません。通常のメガネにバッテリーを内蔵し、スマートフォンとBluetoothで繋ぐ。難しい処理はスマホやクラウド側で行い、答えをメガネのスピーカーやディスプレイに返す仕組みです」(小寺氏=以下同)
カメラ機能を備えた商品なら、写真や動画を撮影するだけでなく、街の看板やメニューをAIに翻訳させることもできる。夢は広がるばかりだが、肝心なのは実際の“かけ心地”だろう。
「当然、通常のメガネよりは重いです。まずバッテリーが入りますし、スピーカーやディスプレイ付きのレンズを使えば、その分、重くなりますから。さらに視力矯正が必要な人は、度付きレンズも加えなくてはいけない。AIメガネの平均は40~50グラムくらいじゃないでしょうか。一般に市販されているメガネで“すごく軽い”と言われるものが18グラムくらいなので、実感としてはだいぶ違います」
もう一つ気になるのが、サイズやデザインの種類が少ない点だ。
「“自分に合うメガネ”って千差万別じゃないですか。普通、メガネ屋さんに行くとフィッティングしますよね。顔や耳の距離が合っているのか? フレームの長さや曲がる位置はどうか? そういったことを確認しながらメガネを選んでいく。でもAIメガネはバリエーションが少なくて、サイズもS、M、Lの3種類しかなかったりするんです。中にはワンサイズしかない商品もありますし」
現段階だと、レイバンやオークリーといった有名ブランドとタッグを組んでいるMetaが“カッコよさ”という意味では一歩リードか。だが、ここで小寺氏は身も蓋もない本音を漏らした。
「実際問題として、日本で普通に暮らしている限りはAIメガネって日常生活でほとんど使い道がないんですよ。だって我々はスマホですぐAIも使える状態ですけど、生活や街中でそんなにAIに聞きたいことってないじゃないですか」
たしかにそうかもしれないが……。それでも地図機能は魅力的に映る。目の前のレンズに目的地までの道のりが展開されたら、使い勝手がよさそうではないか。しかし、ここにも大きな落とし穴があるという。