◾️買い控えの背景にある「折りたたみ式」の存在
実際のところ、iPhone 18 Proシリーズは売れているのか、それとも売れていないのか。スマートフォン事情に詳しいITジャーナリストの井上トシユキ氏に話を聞いた。
「Nikkei Asiaでは、需要が予想を下回ったと報じられています。半導体などの部品価格が高騰するなか、ProやPro Maxの予約・販売が低調であれば、在庫を抱えるリスクを避けるために製造数を調整する必要があるのでしょう」
井上氏は、今回の発注削減についてそう分析する。ただ、発売直後に店頭在庫があることだけで、売れていないと判断するのは早計だという。
「これまでも人気カラーは品薄になる一方、不人気カラーは在庫が残ることがありました。また、部品供給の問題や転売対策による販売方法の制限など、欲しいモデルがすぐに買えない理由はいくつもあったんです」
では、今回のProシリーズに購入をためらわせる要因があるとすれば、何なのだろうか。
「まず価格の問題は大きいと思います。特にカメラ性能にこだわらない一般ユーザーにとっては、高価すぎる。カメラの高性能化や新しいチップを搭載したことが特徴ですが、日常的に写真を撮ったり、連絡や調べ物に使ったりする程度では、その進化を実感しにくい部分もあります」
最新モデルではカメラ性能や処理能力が進化した一方、それが誰にとっても買い替えの決め手になるとは限らないというわけだ。
「プロの動画制作者やカメラマンなど、性能を必要とする人たちのなかには、すでに予約している人もいます。ただ、一般ユーザーは実際に使っている人の話を聞いたり、触ってみたりしないと、その価値がわかりにくいのではないでしょうか」
そして、もうひとつ見逃せないのが、やはり折りたたみ式の「iPhone Duo」の存在だという。
「私の周囲でも、18シリーズに買い替えた人はまだいません。一方、Duoを待ってから考えるという人は結構います。特にゲームをする人や動画をよく見る人にとっては、カメラやチップの進化よりも、折りたためるという変化のほうが魅力的に映るのではないでしょうか」
実際、SNSでも、《duoが先に出ててduoを買えなかったらiPhone 18 pro(max)買う気になったけど逆はそりゃ売れないよねという感想》といった声が見られ、Duoの登場がProシリーズの購入判断に影響している様子がうかがえる。長年、板状のデザインを基本としてきたiPhone。それだけに、大画面でゲームや映像を楽しめるDuoには、これまでのモデルとは異なる新鮮さがある。
では、井上氏自身は、iPhone 18 Proシリーズの売れ行きをどう見ているのか。
「現状では、18シリーズ、なかでもProとPro Maxは、まだ売れていないと思います。ただ、今後の売れ行きはDuoの動向にも左右されるでしょう。iPhone 18と18 Proも触ってみると速いな、すごいなとは思います。ただ私も買い替える気はないです。というのも、私の場合は原稿を書いたり、調べ物をしたり、連絡を取ったりするのが主な用途なので、高価すぎますし、オーバースペックなんですよ」
性能は進化しているのに、買い替える理由が見つからない。そんなユーザーが増えているとすれば、最新モデルの高性能化だけでは購買意欲を刺激しにくくなっているのかもしれない。
一方で、折りたたみ式という新しい体験を提供するDuoには、価格が高くても関心が集まっている。今後の売れ行き次第では、iPhoneの人気モデルの勢力図にも変化が生まれそうだ。
井上トシユキ
同志社大学卒業後、会社員を経て1989年より取材執筆活動を開始。IT、ネットから時事問題まで各種メディアへの出演、寄稿および論評多数。企業および学術トップへのインタビュー、書評も多く手がける。