■テルのMLB挑戦で若手にチャンス到来

 一方で、タイガースはテル(佐藤輝明)が初戦で途中交代すると、2戦目では森下翔太も太ももを痛めて緊急交代。4戦目に2人が復帰するまで、シーズン通りのオーダーも組めませんでした。その影響もあってか、近本光司はCSで18打席に立ってノーヒット。

 投手陣は第1戦に先発した村上頌樹や2戦目を任された(髙橋)遥人が力投しただけにもったいなかった。主戦級の選手の状態に左右される、短期決戦の難しさがモロに現れた形です。

 藤川球児監督も終戦後に「球団の財産にしなければ」とコメントを残していましたが、その通りです。

 そんな阪神ではオフにテルが海を渡ります。打線の再構築も必要です。CSの結果からも明らかなように3連覇を目指すなら、テルの穴を埋めるのは必須です。昨年のドラ1・立石正広や前川右京、髙寺望夢といった若手や新戦力の発奮は欠かせません。

 10月22日にはドラフト会議も控えています。今のチームの補強ポイントは打てる野手。この回が掲載される頃には結果が出ていますが、本命は青山学院の渡部海捕手か。タイガースがドラフトで捕手を上位指名したのは2015年の(坂本)誠志郎の2巡目が最後です。それだけに主戦級のキャッチャーが軒並み30代を超えているチームとしては是が非でも獲得したいところ。対抗馬は明治大学の榊原七斗外野手か。抜群の打撃センスからは高いポテンシャルを感じます。兵庫県の報徳学園出身というのも応援したいポイントです。

 来季からはセ・リーグもDH制へと変わり、ピッチクロック(投球制限時間)といった新たなルールも球界には導入されます。選手や監督には“お疲れ様”と言いたいところですが、新シーズンへ向けた戦いはもう始まっているのです。

矢野燿大(やの・あきひろ)
1968年12月6日生まれ。90年ドラフト2位で中日ドラゴンズへ入団。97年オフにトレードで阪神タイガースへ移籍すると、正捕手としてチームの躍進を支え2度のリーグ優勝に貢献。