■実はシリアスな『もうパパ!』

 続いて、原菜乃華(23)が主演する『もうパパ!』(ABCテレビ制作、テレビ朝日系/日曜午後10時15分~)は、家族系チャンネル「タラちゃんねる」を配信している、父・多良山良詫(りょうた、堤真一/62)と娘・紀子(きこ、原)の姿を通して、令和のSNS社会の光と影を映し出し、親子のリアルな人生の衝突と再生を描くヒューマンファミリードラマ。

 平均世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は世帯で初回から第4話まで、3.0%、2.7%、2.6%、2.9%で危険水域に撃沈中。配信サービス・TVerのお気に入り登録数も37.5万(10月28日午後3時現在)と深夜ドラマレベルで、今期ドラマ部門の21位。数字の伸びも凪化しつつある。

 NHKの『恋せぬふたり』、『生理のおじさんとその娘』、朝ドラ『虎に翼』などを手掛け、熱烈なファンの多い吉田恵里香氏による脚本。朝ドラ『あんぱん』のヒロインの妹・メイコで一気に知名度をあげた原菜乃華主演と、こちらも話題性は十分だったが……。

 いかにも現代的な配信者一家という設定。さらに公式ビジュアルからファミリーコメディかと思えば、承認欲求が過度な毒親・良詫を相手に、紀子がひとりの人間としての再生を目指す、ガチガチなストーリー。吉田氏らしいといえばらしいが、「思っていたドラマと違う」と感じた視聴者は少なくなかったのではないだろうか。

 しかも、その父親の暴走ぶりが徹底しているうえに、やたらにリアル。紀子を応援したくなるのは間違いないが、見ていてどうにも居心地が悪い。離婚した母親が登場したものの、結局、彼女も紀子の味方にはなってくれない。といっても、ファミリードラマであるため、最近流行りの裏切りや復讐など、ドラマチックな展開を盛り込めないのもあって、地味な印象だ。

 中盤以降、紀子の初恋の相手・吉良陽日(岩瀬洋志/22)、親友の人気配信者・佐々木俊也(M!LK・塩﨑太智/26)らに寄り添われながら、じょじょに紀子の自立が描かれていけば、ドラマのトーンは変わるはずだが、時すでに遅しだろう。原菜乃華にとって、GP帯ドラマの初主演だけに、もったいない。

(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。