■背景にある各局の“独自・提携配信”強化

 すでにTVerでは、現在放送中のTBS系日曜劇場『VIVANT』ほか人気ドラマのメイキング映像や番外編を配信するなど、独自のサービスを展開している。

 2023年9月には、TVer初のオリジナルドラマとして、松下洸平(39)主演の『潜入捜査官 松下洸平』を配信している。在京民放5局が制作に協力した作品で、各局の人気バラエティ番組が作中に登場したことが話題となったが――前出の民放キー局関係者は言う。

「TVerは在京民放5局が中心となって始動した会社です。5局がそれぞれ16.4%の株式を保有していて、各局にとって重要な配信先なのは間違いありません。ただ、“自社”ではないんですよね。

 一方で、各局は自社や提携先の有料配信サービスにも力を入れています。限定コンテンツやスピンオフなどを用意して、そちらへの加入につなげたいという狙いも当然ありますよね」

 現在、在京キー局では、日テレ系の「Hulu」、テレビ朝日系の「TELASA」、TBSと提携関係にある「U-NEXT」、フジテレビの「FOD」など、有料配信サービスとの連携を強化。未公開シーンやスピンオフなど、そこでしか見られないコンテンツも展開している。テレビ東京も有料の経済動画サービス「テレ東BIZ」を展開する一方、無料の見逃し配信「ネットもテレ東」も運営している。

「そうしたTVer以外の自社・提携サービスも強化する流れがあり、TVer側も今後さらに独自の価値を打ち出していく必要性を感じているのかもしれません。

 今や定額サービスでドラマやバラエティ番組を見るのは当たり前の時代になりつつあるし、最近では、Netflixなど世界的な大手配信メディアに最新話を順次配信していく番組も増えている。

 TVerが今後ずっと見逃し配信だけで食べていける保証はない――今回の“見逃し配信から脱却”という発言は、そういった現状を踏まえてのTVer側からのメッセージではないか、と見る向きもありますね」(前同)

 ユーザーからすれば、無料で見られるTVerの“見逃し配信”はとても魅力的で需要があるサービスだが、ビジネス的にそれだけでは限界があるのかもしれない……。