■盛り沢山な内容をまとめる上白石萌音の演技
たしかに、タイトルだけ見ると“タイムスリップラブコメディ”だが、ふたを開けてみたら、教育とその現場の問題を分かりやすく、かつ、しっかり描く硬派な内容になっている。今回のタブレットも、ステレオタイプなアナログ授業礼賛に終わりそうなところを、道具としてのタブレットというところに落とし込んだのは、見事だし胸熱だった。
また、恋愛要素はいろは(上白石)と生琉(向井)に、生琉の幼なじみ・佐伯凜花(剛力彩芽/34)を絡ませるだけと思いきや、同僚の真島(山中)もいろはが気になってきている様子。さらに、時代を超えての関(大森)まで絡んできたうえに、関と瓜ふたつの生徒の父親・佐野(大森・二役)が現代に登場と、これまた手が込んでいる。
加えて、江戸時代以来341年ぶりに流れた彗星が関係している? いろはの魂が梨木彩葉(上白石・二役)の身体に入った理由は? など、タイムスリップの謎まで入ってきそうだ。文字にするとごちゃごちゃした内容になりそうだが、上白石がキャラブレせずに中心にドンといるので、混乱せずに見られている。
演者に脚本に演出とハイレベルな良作なのだが、第3話の平均世帯視聴率は4.2%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と、いまひとつの数字。これは、《タイトルで完全スルー状態のドラマだったのですが、見たらとても面白い》などの声があるように、実際の内容をイメージしにくいタイトルで損をしているとしか思えない。
しかし視聴率下降は、平均世帯視聴率が13.9%を記録した、『プロ野球日本シリーズ第3戦』(TBS系)の放送時間延長の影響が大きく、その点を加味すれば微減というレベルだろう。今なら配信サービス・TVerで初回から後追いできるので、タイトルで判断せずに一度見たほうがいい。
(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。