富士山の開山期間は、例年7月~9月の上旬。今の時期は「閉山」となっているのだが、これは山小屋や救護所が営業を停止して、安全管理体制が解かれているだけで、富士山自体が立入禁止になっているわけではない。つまり、登ってはいけないわけではないのだが、「自己責任」の度合いが高まった状態になるということだ。

 そんな中、山梨県は、2027年9月の閉山期から、富士山で県の防災ヘリによる救助を受けた場合に、原則として費用を徴収する制度の導入を目指すことを表明。さらに6合目以上への登山について、登山届を求める制度も検討中とのニュースも飛び込んできた。

「その背景には、無謀な登山による遭難事故が後を絶たないという事情があるんです。富士山は静岡県と山梨県の県境に位置していますが、山梨県側だけで2018年から2025年まで間に、閉山期の遭難事故が21件発生し、4人が死亡しているんです」(全国紙社会部記者)

 実際に防災ヘリの運用や消防・救助行政を所管する山梨県防災局消防保安課に聞いてみたところ、担当者は対策の必要性について、こう説明してくれた。

「登山者の中には十分な装備をせずに登山しているケースなど無謀な登山をしている方もいます。より安全に富士山へ登っていただける環境を整備する必要がありますし、富士山は世界遺産でもありますので、その価値を守っていくという意味でも何らかの対策が必要だと考えています」

 そこで県が検討している案の一つが、先述した防災ヘリによる救助費の有料化というわけだ。

「すでに埼玉県では、登山中に県の防災ヘリによる救助を受けた場合、有料になる制度が導入されています。山梨県では、埼玉県の実態を参考にしながら、燃料費をはじめ、必要な経費などを今後精査して金額を決めていく予定です」(前同)

 ちなみに埼玉県では2018年の制度導入時、救助にかかるすべての経費ではなく、実際の燃料費を基準に手数料を設定。ヘリが1時間に約360~550リットルの燃料を消費することなどを踏まえ、現在は5分8000円で運用されている。