■葬儀費用の相場は家族葬なら100万以下
ここに追加請求の落とし穴が存在します。広告の格安料金には、火葬場使用料や式場利用料、数日間の遺体安置・ドライアイス代といった不可欠な費用が含まれていないケースが目立ちます。さらに、親族への食事や返礼品などの変動費用が上乗せされるうえ、打ち合わせでは“最後だから”と祭壇や棺のグレードアップを勧められ、数十万円単位のオプションが次々と加算。そこへお寺への“お布施”まで加わることで、気づけば想定の4倍にまで膨らんでしまうということも起こるのです。
葬儀相談・依頼サイト『いい葬儀』を運営する鎌倉新書が2026年に実施した『第7回お葬式に関する全国調査』によれば、葬儀費用の相場は、一般葬でおよそ122万円、身内中心の家族葬でおよそ96万円とされています。少しでも費用を抑えたいと考える利用者の心理につけ込み、安価な基本料金で誘い込んでから不透明な追加費用を積み重ねていく手口が悪徳業者の間で常態化しているようです。
「安さをアピールするネット広告では、基本料金の範囲をあいまいにしているケースが目立ちます。また、掲載されている豪華な祭壇の写真に“イメージです”と添えられている場合、基本料金だけでは写真と同じサービスを受けられない可能性も。大切な家族を失い判断力が低下しているタイミングだからこそ、事前の書面確認や内訳の精査が重要になってきます」(生活情報サイト編集者)
ネット上でも、《悲しみの渦中にいる遺族の足元を見るような商売は納得がいかない》《“一式”という大雑把な見積もりを提示された時点で警戒すべき》《安すぎる表示には必ず裏があると知っておく必要がある》といった厳しい意見が寄せられています。
こうした事態を受け、費用を1円単位で細かく説明するセミナーを開催する葬儀会社も出てきました。トラブルを未然に防ぐには、家族が元気なうちに信頼できる事業者を探し、複数の会社から見積もりを取ってプラン内容を比較検討しておくことが何よりの防壁となりそうです。
戸田蒼(とだ・あおい)
トレンド現象ウォッチャー。大手出版社でエンタメ誌やwebメディアの編集長を経てフリー。雑誌&webライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。