■広瀬すずが魅力的に演じる力強さに期待

 今作の主演・広瀬すずは、作品の予告番組の中で、青春ラブストーリー作品を「そこまでやったことがない」「まさかやれるとは(思っていなかった)」と話している。これまで演じてきた数々の役では見られなかった表情や仕草、新しい芝居が見られるだろう。

 広瀬が演じる浅葱空豆(あさぎ・そらまめ)は、独特な九州弁や天真爛漫な性格であること、幼なじみの婚約者を追いかけて上京してくるといった純粋なことろがある。広瀬が持っている、元気はつらつで笑顔がかわいらしいという素顔が、空豆を演じることで重なって延長した、その先にある芝居が楽しみだ。理屈では説明ができないような心の動きや、感情が抑えきれなくなった時に見せる表情などに注目したい。

 そして、脚本を担当する北川悦吏子氏といえば、恋愛ドラマで立て続けにヒット作を生み出してきたラブストーリーの名手だ。恋愛感情のある男女がいて、二人の間には大きな壁になるものがあって、それは身体的なハンディキャップだったり心に深い傷を負っていたりするのだが、お互いを思うばかりにすれ違ってしまう、といった心の痛みを強く抱かせる。この゛痛み”に、苦しくも共感し、愛することの尊さや愛しさの深みをこれでもかと見せつけてくるのだ。

 ドラマのキャッチフレーズに゛気づいたらとっくに恋に落ちていた”とあるが、いち視聴者として見ていたはずなのに゛気づいたらとっくに”心がえぐられていた、なんてことがあるだろう。今のうちに心の準備をしておきたい。(文・青石 爽)